- 女流文学賞とは
- 第39回(2000年)
- 第38回(1999年)
- 第37回(1998年)
- 第36回(1997年)
- 第35回(1996年)
- 第34回(1995年)
- 第33回(1994年)
- 第32回(1993年)
- 第31回(1992年)
- 第30回(1991年)
- 第29回(1990年)
- 第28回(1989年)
- 第27回(1988年)
- 第26回(1987年)
- 第25回(1986年)
- 第24回(1985年)
- 第23回(1984年)
- 第22回(1983年)
- 第21回(1982年)
- 第20回(1981年)
- 第19回(1980年)
- 第18回(1979年)
- 第17回(1978年)
- 第16回(1977年)
- 第15回(1976年)
- 第14回(1975年)
- 第13回(1974年)
- 第12回(1973年)
- 第11回(1972年)
- 第10回(1971年)
- 第9回(1970年)
- 第8回(1969年)
- 第7回(1968年)
- 第6回(1967年)
- 第5回(1966年)
- 第4回(1968年)
- 第3回(1964年)
- 第2回(1963年)
- 第1回(1962年)
女流文学賞とは
2000年終了(1962年~)
主 催:中央公論社
対 象:新聞・雑誌・単行本等で発表された女流の小説等
対象期間:前年2月~当年1月
「婦人公論」の昭和36年/1961年4月号にて創設発表。その後、中央公論社が引継いで創設した文学賞。中央公論社の経営不振により2000年をもって終了し、2001年より婦人公論文芸賞となった。毎年6月に発表。
第39回(2000年)
川上弘美/溺レる
二人で何本も徳利を空にして、ゆらゆらと並んで歩く暗い夜の情景―「さやさや」。ちょっとだめな男とアイヨクにオボレ、どこまでも逃げる旅―「溺レる」。もっと深い仲になりたいのに、ぬらくらとすり抜ける男―「七面鳥が」。恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、傑作短篇集。女流文学賞・伊藤整文学賞受賞。
第38回(1999年)
原田康子/蝋涙
蝋の雫のような真珠のアクセサリー。それを見るたびに蘇る、密やかな思い。若き日への感傷を綴る表題作をはじめ、娘の出生に疑惑を持つ父親の愛憎を描く「渚にて」や、夫婦の日常を通じて“老い”を語る「冬の月」など。人生の深奥を見つめた、珠玉の名作七編を収録。
第37回(1998年)
米谷ふみ子/ファミリー・ビジネス
老母、親類とのつきあい、日本の冠婚葬祭を半分アメリカ人の目でユーモラスに語る表題作、ロスアンジェルスの暴動を渦中から克明に描く「千一本の火柱」、二つの国の物語。
第36回(1997年)
北原亞以子/江戸風狂伝
無謀にも将軍綱吉に衣装自慢を仕掛けた豪商の石川屋六兵衛とその妻およし。危ないと知りつつ幕府批判の風刺画を引き受けた人気浮世絵師の歌川国芳。曰くつきの家を買った平賀源内が起こした殺傷事件の顛末。時代の風潮に反発し、心の赴くままに意地を貫き、破滅をも恐れない風狂な人々を描いた七作の短篇集。
第35回(1996年)
田中澄江/夫の始末
野の花と山を愛し、長い人生の旅を歩み、87歳の今、60年余の夫との暮らしを振り返り、自らの軌跡を潔く描く。夫婦のあり方を問う傑作自伝的連作集。
第34回(1995年)
高樹のぶ子/水脈
別離、再会、愉楽と切なさ、そして死。自ら今もっとも切実な主題を想像力の限りを尽して、変容する水の姿態に重ねた官能の香り濃き短篇10篇。水に始まり水に環る官能と夢幻のアクアファンタジー。
第33回(1994年)
松浦理英子/親指Pの修行時代
どこにでもいる無邪気で平凡な女子大生、一実。自殺した親友の四十九日の翌日、眠りから目覚めると、彼女の右足の親指はペニスになっていた。突然現れた親指Pに困惑し、揺れ動く人々。そして無垢だった一実にも徐々に変化が訪れ―。驚くべき奇想とユーモラスな語り口で大ベストセラーに。
第32回(1993年)
安西篤子/黒島
第31回(1992年)
岩橋邦枝/浮橋
時を超え甦る青春の日を彩る男たちとの情景。女の生の軌跡を功緻に描く自伝的連作長篇。
稲葉真弓/エンドレス・ワルツ
2014年八月に逝去した、作家・稲葉真弓の名作。阿部薫と鈴木いづみとの凄絶な愛の軌跡を描いた、女流文学賞受賞作。解説、小池真理子。
第30回(1991年)
山田詠美/トラッシュ
人を愛した記憶はゴミのようには捨てられない。黒人の男「リック」を愛した「ココ」。愛が真実だったとしたら、なぜ二人は傷つき別れなければならなかったのか。男、女、ゲイ、黒人、白人―、ニューヨークに住むさまざまな人々の織りなす愛憎の形を、言葉を尽くして描く著者渾身の長篇。
須賀敦子/ミラノ 霧の風景
イタリアで暮らした遠い日々を追想し、人、町、文学とのふれあいと、言葉にならぬため息をつづる追憶のエッセイ。講談社エッセイ賞、女流文学賞受賞。
第29回(1990年)
村田喜代子/白い山
土地からたちのぼる綺想、生きることのたくましさとおおらかさ。大人のユーモア漂う短篇の名手の代表作をデビュー30年を機に精選。「鍋の中」(芥川賞)、「百のトイレ」「白い山」(女流文学賞)、「真夜中の自転車」(平林たい子賞)、「蟹女」(紫式部文学賞)、「望潮」(川端康成文学賞)など
津村節子/流星雨
京都守護職として孝明天皇の信任篤いはずのわが会津藩が、どうして朝敵となり攻撃をうけるのか―そう自問する一人の会津藩士の娘がいた。鶴ヶ城陥落、斗南への転封とつづく波乱の時代に、少女は何を見、どう生きたか。実在の人物の史料をもとに、歴史の悲劇を問い、「女たちの会津戦争」を描き切った著者初の本格的歴史小説。
第28回(1989年)
吉行理恵/黄色い猫
記憶に定まらないうちに次々と変貌するコンクリート・シティー。その片隅に逼塞する私の内なる柔らかきものを目覚めさせてくれる小さな生きものとの秘めやかな語らい。詩人・吉行理恵の奇妙で優しい不思議の国。
第27回(1988年)
塩野七生/わが友マキアヴェッリ
権謀術数の代名詞とされるニコロ・マキアヴェッリ。しかし彼はそれほど単純に割り切れる人間ではなかった―。16世紀のフィレンツェ共和国に仕え、権力者たちの素顔を間近で見つめ続けた官僚。自由な精神で政治と統治の本質を考え、近代政治学の古典『君主論』を著した思索者そして人間味あふれる愛すべき男。その実像に迫る塩野ルネサンス文学の最高峰。
金井美恵子/タマや
孤独な魂と奇妙な友情…女流文学賞受賞作。突然、猫を押しつけられて困惑するボクの所に、次々と寄る辺ない人間達が集ってくる。漂泊しているような頼りない日々。ボクの秘かな夢は、どうなるのだろうか?
第26回(1987年)
田辺聖子/花衣ぬぐやまつわる……
大正から昭和にかけて、数多くの艶麗な句を遺し、女流俳句の先駆者として活躍した杉田久女。明治23年高級官僚の娘として鹿児島に生れ、開明的な雰囲気の中のびのびと成長する。やがて東京美術学校を卒業した杉田宇内と結婚、九州小倉で新生活を始めた。「貧しくても意義ある芸術生活」を理想とする妻は中学教師の職に甘んじて意欲に乏しい夫に失望していく。兄の手ほどきで俳句を始めた久女は高浜虚子の「ホトトギス」と運命的に出会い、才能が花開いていく…。
第25回(1986年)
杉本苑子/穢土荘厳
華やかに咲き誇る天平文化の裏側で恐るべき陰謀が進行していた。持統、元明、元正ら蘇我氏系の女帝に対し、宇合を中心とする藤原氏が権力奪取を企てたのだ。最大の政敵長屋王襲撃で闘いの火蓋は切って落とされ、血で血を洗う抗争が一気に―。長屋王一族滅亡から大仏開眼までを重層的に描き、女流文学賞に輝く歴史大河小説。
第24回(1985年)
山本道子/ひとの樹
第23回(1984年)
吉田知子/満州は知らない
第22回(1983年)
林京子/上海
戦争の影迫る上海の街で、四人姉妹の三番目の「私」は中国の風俗と生活の中で、思春期の扉をあけ成長してゆく。鮮烈な記憶をたどる七篇の連作小説「ミッシェルの口紅」と、戦後三十六年ぶりに中国を再訪した旅行の記「上海」。長崎で被爆して「原爆」の語り部となる決意をした著者が幼時を過ごしたもう一つの林京子の文学の原点中国。
第21回(1982年)
永井路子/氷輪
波濤を越えて渡来した鑑真と権謀術策に生きた藤原仲麻呂、孝謙女帝、道鏡たち――奈良の都の政争渦巻く狂瀾の日々を綴る歴史大作。
第20回(1981年)
広津桃子/石蕗の花
祖父広津柳浪、父和郎、そして桃子。1人きりの兄が病没し、嫁がず、孕まず、“家”が消滅する宿命を担う湘南での日々。名作『一期一会』を残し、孤独な老齢を靭く生きる網野菊へのひとかたならぬ親愛と深い交響の中で生まれる静謐な感動。文学者3代の末、広津桃子の女流文学賞受賞の名品。
第19回(1980年)
曽野綾子/神の汚れた手
(辞退)
舞台は三浦半島の小さな産婦人科医院。主人公の医師・野辺地貞春の下では、不妊治療や出産、中絶と、さまざまに行き交う人々の喜びや苦悩が日々交錯している。なかでも中絶手術は、戦後、患者が公に語ることなく行われてきた大規模な水面下医療であった。産婦人科医は生命の誕生に立ち会い、そして同時に中絶という形で一つの命を消し去るという、特異な職業である。その日々の現場を綿密な取材に基づき、淡々と描くケーススタディは圧倒的なリアルさで、小説という概念を超える。
第18回(1979年)
中里恒子/誰袖草
佐藤愛子/幸福の絵
それは他人の目からは、幸せに満ち溢れた家族に見えるのだろうか。美しい額に縁取られた一枚の絵のように。男と私と娘たちとが談笑する世界。しかし、男には妻がいる。そして娘には育ての親が別にいる。幸福という名のベールをはぎとれば、そこには残酷なまでの現実がある。私は目を閉じたまま、この絵の一部になるべきなのか、それとも。
第17回(1978年)
竹西寛子/管絃祭
有紀子の同級生の夏子や直子は「広島」で爆死した。夏子の妹は四人の肉親を失う。皆その後を耐えて生きる。沈潜し耐える時間―。事物は消滅して初めて真の姿を開示するのではないか、と作者は小説の中で記す。夏の厳島神社の管絃祭で箏を弾く白衣の人たちの姿は、戦争で消えた「広島」の者たちの甦りの如くに見え、死者たちの魂と響き合う。
津島佑子/寵児
ピアノ教室の講師をする女は、離婚して娘と暮している。娘は受験を口実に伯母の家に下宿して母親から離れようとしている。体調の変化から、ある日女は妊娠を確信する。戸惑う女が男たちとの過去を振返り自立を決意した時、妊娠は想像だと診断され、深い衝撃を受ける。自立する女の孤独な日常と危うい精神の深淵を“想像妊娠”を背景に鮮やかに描く傑作長篇小説。
第16回(1977年)
高橋たか子/ロンリー・ウーマン
宮尾登美子/寒椿
高知の芸妓子方屋「松崎」で、揃って修業を積んだ澄子、民江、貞子、妙子。姉妹のように睦みあって育った娘たちも、花柳界に身を投じる時を迎える。男と金が相手の鉄火な稼業を、自らの才覚と意地で凌いでゆく四人に、さらに襲いかかる戦争の嵐―。運命の荒波に揉まれ、いつか明暗を分けてゆくそれぞれの人生を、「松崎」の娘・悦子の目から愛惜をこめて描き、生きることへの瑞々しい希望を呼び起こす傑作連作集。
第15回(1976年)
萩原葉子/蕁麻の家
青春の暗部をえぐる自伝的小説。女流文学賞詩人萩原朔太郎の長女に生まれ、八歳で母が去り父の実家で祖母の虐待と侮蔑の中で育った主人公の孤独と挫折の娘時代と父の死の場面迄を毅然と描く。
第14回(1975年)
大庭みな子/がらくた博物館
どこの国にも安住し得ず、アメリカ北辺の海岸の町に流れて来て棲む人々―。荒涼とした自然と対峙し、人種も国境も越え、孤独と引きかえに自由を得たこの人々を、それぞれの胸に抱く生の悲哀が結びつける。その微妙な連帯を、詩的に、そしてユーモアもただよう細やかな筆致で描いた女流文学賞受賞の長篇小説。
第13回(1974年)
富岡多恵子/冥途の家族
父親の両腕、両脚にからまれ、しがみつくように寝る幼い娘。デキの良い娘に、何一つ不自由させず、こよなく愛する父親。やがて娘は成長し、家を出、絵かきのセンセと同棲する。父の脇腹にカタマリができ、娘の渡米中に父親は癌死する。濃いつながりを持つ父親と娘、母と娘、家族群像を鮮かに描き、水流文学賞を受賞した富岡多恵子の初期を代表する傑作。
第12回(1973年)
幸田文/闘
東京近郊の結核病棟の四季を通して、病苦にふみあらされた人間の<生>と<死>の凄絶なせめぎあいを、繊細な眼と鋭い感性で見据え、美しい日本語で描いた長編小説—闘病歴10年、病院の大将といわれる38歳の男性、治っても社会復帰できないと考えてしまう少年少女、語学の研究にはげむ青年などの入院患者と、<生>への奉仕者である医師、看護婦たちとの人間関係を見事に捉える。
第11回(1972年)
芝木好子/青磁砧
すぐれた陶器や陶芸家に魅せられ父と娘の微妙な心の揺曳を抒情的に描く
第10回(1971年)
宇野千代/幸福
或る一人の女の老境における幸福を描く
第9回(1970年)
大原富枝/於雪 土佐一条家の崩壊
大谷藤子/再会
第8回(1969年)
阿部光子/遅い目覚めながらも
第7回(1968年)
平林たい子/秘密
第6回(1967年)
有吉佐和子/華岡青洲の妻
江戸後期、世界で初めて全身麻酔による手術に挑んだ紀州の名医青洲。
一人の天才外科医を巡る嫁姑の凄まじい愛の争奪。
テレビドラマ化、舞台化の定番、人気不動の一冊。
世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――
河野多惠子/最後の時
初期「美少女」「幼児狩り」、芥川賞受賞作「蟹」から、話題の『みらい採り猟奇譚』まで、著者の誠実な文学的展開の中で、中期と呼ぶべき中・短篇群。特に世評高い名篇「骨の肉」ほか、女流文学賞受賞の「最後の時」、更に「砂の檻」ほか4篇収録。男と女の関係、特に子供のいない女・妻と男・夫の関係を描き、抉り出されてくる生の深奥の類例のない明晰な衝撃。
第5回(1966年)
円地文子/なまみこ物語
第4回(1968年)
該当作なし
第3回(1964年)
野上弥生子/秀吉と利休
勢威並ぶものなき天下の覇王秀吉と、自在な境地を閑寂な茶事のなかに現出した美の創造者利休。愛憎相半ばする深い交わりの果てに宿命的破局を迎える峻烈な人間関係を、綿密重厚な筆で描き切る、絢爛たる巨篇。
第2回(1963年)
佐多稲子/女の宿
大阪に住む友人の女流画家とその義妹の家に宿をかりた私。そこに偶然訪れた2人の女客。隣家から響く無遠慮な女の声。さりげない日常の中に、時代の枠に縛られながら慎しく生きる女たちの不幸と哀しみとを刻み込む、女流文学賞受賞作「女の宿」。ほかに名篇「水」、「泥人形」「幸福」など、人々の真摯な生きざまを見事に描き上げた13篇を収録。
瀬戸内晴美/夏の終り
妻子ある不遇な作家との八年に及ぶ愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされぬ女、知子…彼女は泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく。新鮮な感覚と大胆な手法を駆使した、女流文学賞受賞作の「夏の終り」をはじめとする「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇を収録。著者の原点となった私小説集である。
第1回(1962年)
網野菊/さくらの花
生みの母の出現に激しく揺れる少女の心を描く「二月」。病死した妹への鎮魂の賦「さくらの花」(芸術選奨受賞)。四国巡礼の途次入水した八世市川団蔵の死に、人生老残の哀しみを見る「一期一会」(読売文学賞・芸術院賞)。生涯にわたって志賀直哉を人生の師として仰ぎ精進をし、地味ながらもたおやかな文学精神を持した女流作家の処女短編「二月」と深い感銘の代表作、計八編を収録。