2013年の映画「永遠の0」の詳細です。
三浦春馬 23歳。
興行収入は87億6000万円の大ヒット。
第38回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞ほか8部門を受賞。
三浦春馬も最優秀助演男優賞を受賞。
永遠の0
概要
2013年12月21日 公開
監督:山崎貴
原作:百田尚樹『永遠の0』(太田出版)
脚本:山﨑貴、林民夫
企画:アミューズ
制作プロダクション:ROBOT
VFXプロダクション:白組
制作協力:東宝映画、阿部秀司事務所
配給:東宝
製作:「永遠の0」製作委員会(東宝、アミューズ、アミューズソフトエンタテインメント、電通、ROBOT 、白組、阿部秀司事務所、ジェイ・ストーム、太田出版、講談社、双葉社、朝日新聞、日本経済新聞社、KDDI、TOKYOFM、日本出版販売、GYAO、中日新聞社、西日本新聞社)
音楽:佐藤直紀
主題歌:サザンオールスターズ/蛍
監督 : 山崎 貴 時間 : 2 時間 24 分 発売日 : 2014/7/23 販売元 : アミューズソフトエンタテインメント DVD Amazon Blue-Ray Amazon |
キャスト
佐伯健太郎(三浦春馬)
宮部久蔵:実の祖父(岡田准一)
佐伯慶子:姉(吹石一恵)
佐伯清子:母(風吹ジュン [幼少期:栗本有規])
大石賢一郎:祖父(夏八木勲 [青年期:染谷将太])
大石松乃:祖母([青年期:井上真央])
<祖父の軍隊時代>
井崎(橋爪功 [青年期:濱田岳])
武田(山本學 [青年期:三浦貴大])
景浦(田中泯 [青年期:新井浩文])
長谷川(平幹二朗)
小山(上田竜也(KAT-TUN))
伊藤(青木健)
香川(遠藤雄弥)
寺西(栩原楽人)
ネタバレ詳細
序章:実の祖父の存在を知る
2004年。
26歳、司法試験に落ち続け、人生の目標を失いかけた青年・佐伯健太郎(三浦春馬)は、母方(母:風吹ジュン)の祖母の葬儀で初めて祖母には祖父の前に結婚していた男性がいた事を知る。
実の祖父だと思っていた賢一郎(夏八木勲)とは血のつながりがなく、本当の祖父は太平洋戦争で特攻により戦死した宮部久蔵(岡田准一)という人物であるという。
フリーライターの姉・慶子(吹石一恵)に依頼されるが、勝手に調べるのは嫌だと、祖父に尋ねると、祖父も調べてほしいと言うので、宮部の過去を調べる事にした健太郎。
わかっている事はほとんどなく、遺書もなく、26歳で南西諸島沖で戦死している。
宮部久蔵
大正7年生まれ/昭和9年海軍入隊/昭和20年戦死。
祖母とは昭和16年に結婚し、翌年、母:清子が生まれる。
祖父は臆病者で恥さらし
久蔵について調べ始めた2人。まずは姉が祖父を知っていそうな軍隊時代の人間をネットで調べ、「祖父を知らないか」と手紙を送り、返事がきた人を、何人か訪ねてみるが・・。
海軍一の臆病者
勝つことより自分の命が助かる事が奴の望みだった
帝国海軍の恥さらし
海軍航空隊時代の同僚たちは宮部のことを“海軍一の臆病者”と非難する。健太郎は「祖父は特攻で亡くなってるのに臆病者って」と反論すると、「どうせ命令で仕方なく、泣きながら行ったんだろう」と、にべもない。
そんな中、景浦(田中泯)を訪ねた2人、景浦はヤクザのようだ。健太郎が「祖父は臆病者で、恥さらしだったんですよね」と言うと、「どこでそんな話を聞いた?臆病者ならなぜ特攻に行った?」と不機嫌そうに言い、帰れと言う景浦。
6人目の証言者が語る
健太郎は、どこへ行っても嫌な事しか聞かない祖父の話に落胆し、もうやめたいと姉に言う。もう1人、約束をしているからと最後のつもりで尋ねた井崎(橋爪功)から、祖父が凄腕のパイロットであったと聞かされる。
6人目に訪ねた井崎は海軍航空隊時代に宮部の部下だった。井崎は宮部を肯定的に見ており、ゼロ戦についても詳しく教えてくれる。
「そりゃもう凄腕中の凄腕だが、空戦が始まると乱戦を避け、高みの見物をしていたので、臆病者と言われた」と言う。
井崎(青年期:濱田岳)が初めて宮部を見たのは、空母での事だった。皆がガタガタとギリギリ着陸したり、急停止したりする中、スーッと綺麗に着陸を決めた、たった一人のパイロットに挨拶に行った時だった。
当時の航空戦では、ゼロ戦の性能+隊員たちの技量で、世界一だったと思うが、特に宮部の技量は群を抜いていたと言う。
昭和16年。宮部や井崎の所属する海軍航空隊はゼロ戦闘機に乗って真珠湾を攻撃。敵の船をたくさん沈めたと喜んで騒いでいる隊員たちの中、浮かない顔の宮部。
「敵の空母は一隻もいなかった、空母を攻撃しなければ意味はない、それに29機も帰還できなかった。海面に突っ込む機も見た。怖いんです、私は死にたくありません。」と言われ、”死にたくない” と言う言葉に嫌悪感を抱いたが、【空母をやれなかった】事で、翌年の6月。宮部が心配していた通り、ミッドウェー海戦と呼ばれるこの戦闘で、日本軍の空母は撃沈され、航空隊は母艦と大勢の隊員を失う。
昭和17年の夏。宮部たちはラバウルへ送られる。宮部は小隊長になり、井崎は直属の部下となる。
宮部は相変わらず、隊員たちからは陰で臆病者と言われているが、毎晩自主的に厳しい鍛錬を続ける宮部を見た井崎は、宮部が生きて帰ることに執着する真意がわからず、「そんなに生きて帰る事が大切なのか」と詰め寄ると、宮部は妻と娘のためにどうしても生きて帰りたい。自分が死んで2人の人生を狂わせてしまう事を案じているのだ。
井崎から、それは家族を愛しているという事だと聞き、やっと祖父という人間の内面がわかり、嬉しそうな健太郎と姉。
健太郎「ただの臆病者じゃなかった・・。」
戦況は益々激しさを増す中、ガダルカナルへ迎えと指示が出る。しかし距離を計算した宮部は、「無理だ」と言う。この距離では、往復する燃料でやっと、戦う余裕などないと説明するが、聞き入れられる事はなく作戦は実行。
宮部の言った通り、隊員たちは途中で力尽き海へと突っ込んでいく・・。
“どうせ死ぬなら敵へ突っ込んで自爆した方がいい”と言った井崎を
「お前が死んで悲しむ人間はいないのか!家族はいないのか!いるなら死ぬな!どんな時も最後まで生き延びる努力をしろ!」
この宮部の言葉は井崎の胸に突き刺さり、マリアナ沖海戦で死にかけた際、この時の事がよみがえり励みとなった。宮部がいなければ、自分に娘も生まれていない。あの時代にそういう生き方を選んだ宮部こそ、強い人だったのだと。
宮部が前線へ送られる前、横須賀に戻った事があり、一度だけ家へ戻り、妻:松乃と娘:清子に会っていたという事も話してくれた。
宮部が娘に会えたのは、この一度きりとなるが、その際、
たとえ腕がなくなっても、足がなくなっても、たとえ死んでも・・・それでも僕は戻ってきます。生まれ変わってでも、必ず君と清子の元に戻ってきます。
と松乃に約束していた。
井崎は末期がんで余命宣告を受けていたが、その時期を過ぎても生きていたのは、あなたたち(健太郎と慶子)に会い、小隊長(宮部)の話をする為だったんだろうと語った。
祖父をもっと知りたい
慶子は「妻と娘の元に帰るまでは死ねない」と思っていた祖父の事を母(清子)に話し、それを聞いて喜ぶ母だが、一番の謎はそれほど生きることにこだわっていた宮部が、なぜ特攻に志願したのかということだった。
井崎の話を聞いた事で、健太郎はもっと宮部のことを知りたくなり、図書館で調べ物をしていた際、昭和20年に学徒出陣で徴兵された人の記事を見つける。
大企業の会長をしている武田(山本學 [青年期:三浦貴大])という人物。早速たずねてみるが、時間がないと取り合ってもらえない。健太郎が「宮部久蔵について調べてるんです」と声をかけると、午前中の予定をすべてキャンセルして話をしてくれることに。
海軍航空隊予備学校の教官となっていた宮部の訓練を受けた。学徒生には突然、「特攻志願書」が配布され衝撃を受けるが、ほとんど全員が特攻を志願した。
特攻で亡くなった約4,400名の半分近くは学徒出陣の若い隊員
しかし宮部のクラスの学生は飛行訓練で「可」がもらえず、なかなか戦場へ出してもらえない。学生たちはそんな宮部に不満を抱く。
彼らば宮部は永久に「不可」をつけ続けるつもりだ、自身は特攻を拒否した事があるらしい 腰抜けだ などと噂話をし、宮部を軽蔑する。
宮部は飛行訓練中に亡くなった生徒の事を「たるんでいる、飛行機を無駄に潰す」などと侮辱した上官に反論し、ひどい暴行を受ける。
生徒たちは仲間の名誉を守ってくれた宮部に感謝し、この件以来、宮部のことを尊敬するようになる。
ある乱戦時、敵機に追われる宮部の窮地に、予備士官の1人が敵機へ体当たりして命がけで救い大けがを負う。
「なんでこんな事をするんだ!」と言う宮部に
「宮部教官は死んではいけない人です!」
誰も死なせたくない宮部は、行けば必ず死ぬ「特攻」には誰一人送りたくないと思っていた。
その後、別の場所へ送られた武田は宮部に会う事はなく、特攻で亡くなった事を知った、「あの人こそ、生きるべきだったのに」と語ってくれたが、なぜ特攻に志願したのかはわからないと言う。
司法浪人の健太郎に「宮部教官の血を継いでいる君は大丈夫だ。教官の分までしっかり生きるように」と。
健太郎は家に帰っても、祖父がなぜ特攻を選んだのかという疑問が解けず、当時の事を調べている。そんなある日、同級生たちとの合コンに出かけるが、特攻と自爆テロは同じなどと言う彼らと話が合わず、先に帰ってしまう。
祖父の真実
合コンの帰り、景浦を再び訪ねる健太郎。居間に通され、刀の前に放り出された健太郎の元に、景浦が入って来て一言。
「その刀は人の血 吸ってるぞ」 「何時だと思ってるんだ」
それでも真剣な表情で「僕のおじいさんの話を聞かせて下さい」と言う健太郎。景浦は以前訪れた際の健太郎は、祖父は臆病者でみっともない軍人だと思っていたが、今は誇りを抱き祖父に興味を持っている変化に気づき、宮部の話を聞かせてくれる。
「あれから色々調べたのか、顔つきが変わった」と言われ、「でも答えは、どうしてもわからない」と健太郎が言うと、「なぜ特攻を選んだのか」を知っている様子の武田。
「誰よりも生き延びたいと思っていた、だが、最後の最後に自らその希望を断ち切ってしまった。」
景浦は宮部と同じ海軍航空隊に所属し、ラバウルでの激しい空中戦やマリアナ沖海戦を生き抜いてきた。剣豪に憧れていた景浦は乱戦を好み、いつも無傷で帰ってくる宮部に強い反感を持っていた。
景浦(田中泯 [青年期:新井浩文])
模擬空戦を申し出るが断られたある日の訓練中、強引な自分の挑発を見事にかわし、あっという間に自分の真後ろについた宮部。もう一度、前へ入った宮部の飛行機をめがけ、乱射してしまう景浦。しかし、弾は一向に当たらなかった・・。宮部は、まっすぐに飛んでいると見せかけ、僅かに滑らせており、弾は流れていった。その腕前を景浦も認めざるを得なかった。
昭和20年、景浦は鹿屋基地へ。
鹿屋基地では、先に赴任していた宮部と同じく、特攻隊員を護衛しながら敵機近くまで飛ぶ任務に就いたが、そこで見た宮部は、自分の知っている宮部ではない、変わり果てた姿だった。
今や敵機の方ががはるかに性能が上回っている中、特攻隊員として敵陣にたどり着けないまま命を落としていく生徒たちを、毎日、間近で見てきた宮部は自分の無力さに打ちのめされていた。
「あれが特攻です。今日逝ったのも私の教え子たちです。あんなのを毎日見てきました。彼らはこんなことで死ぬべきではなかった。戦争が終わった後の日本の為に生き残るべき人間だったのに、俺は何もしてやれなかった」
そんなむなしく悲しい毎日に絶望し、ついに自ら特攻を志願する。
志願者の名前に「宮部久蔵」を見つけた景浦は、宮部に「毎日見てきた特攻は、敵機に辿り着く事さえ出来ず、ただの犬死なのに、なぜ行くのか」と辞めさせようとするが、叶わず・・・それなら、宮部の特攻機を護衛し、敵の銃弾を1発も受けないよう、体当たりしてでも自分が守ると誓うが、乱戦の中、宮部の機体を見失ったと言う。
宮部の出陣の日。出撃の直前になって宮部は、ある飛行兵に自分の新しい機体(52型)をわざわざ、彼の古い機体(21型)に交換してもらったという。
そして宮部と交換した機体(52型)はエンジン不調を起こし、喜界島に不時着。飛行兵は生き残って帰還。特攻はその後ほとんどなかった為、生存して終戦したらしい。
「祖父は、生き残れるかもしれない最後のチャンスを、偶然にも手放してしまったのか」と叫ぶ健太郎。
生き残った人がご存命なら話を聞いてみたいと言う健太郎に、景浦は生存者名簿を渡し、抱きしめた。
姉の迎えを待つ玄関先で、名簿を見た健太郎は衝撃を受ける。雨の中、立ちすくむ健太郎に駆け寄った姉に名簿を見せ、
「おじいちゃんだったんだよ、不時着した52型に乗ってたのは、僕らのおじいちゃんだったんだよ!」
その飛行兵の名は大石賢一郎。つまり健太郎の祖父だった。
現在の祖父が語る真実
健太郎は慶子と清子とともに、賢一郎の話を聞く事に。賢一郎は海軍航空隊予備学校で宮部に学んだ生徒だった。
大石賢一郎:祖父(夏八木勲 [青年期:染谷将太])
以前、宮部の窮地を命がけで救った予備士官こそ、祖父の賢一郎だった。
宮部は賢一郎を見舞った際、彼に自分の軍服を贈り、松乃と清子の写真を見せる。戦争が終わったら何をしたいかという宮部の問いに、賢一郎は“人のためになるような仕事をしたい”と語る。
その後、賢一郎は鹿屋基地で別人のようになった宮部と再会する。宮部は多くの若者の死によって自分が生き延びていることに耐えられなくなっていた。そして宮部と賢一郎は特攻隊員に志願する。
出発直前に宮部から機体の交換を頼まれる。「なぜわざわざ旧式の21型に」と聞く賢一郎に、宮部は「自分が初めて乗ったゼロ戦と同じ型。一緒に行くならこの機がいい」と言う。
賢一郎は宮部が搭乗するはずだった機体に乗り込む。しかしその機体はエンジントラブルにより海上に不時着し、賢一郎は九死に一生を得た。
「宮部は戻らず、自分はここにいる」と祖父・賢一郎。
「それがおじいさんの運命」という健太郎に祖父は「違うんだ!」と。
自分はその事を話す為に、終戦後すぐ、宮部の妻を探したが、横浜の家は焼けて既になく、大阪へ逃げ延びている事を知ったのは2年後。大阪のバラックで貧しく苦しい生活をしている松乃を訪ねた。
そこで、機体を交換し自分は助かった事、
宮部が賢一郎と機体を交換したのは偶然ではなく、宮部がエンジンの故障に気づいていたから。
宮部は賢一郎が乗った機に、賢一郎へのメモと松乃と清子の写真を残していたのだと話した。
メモには“もし、大石少尉が運よく生き残り、私の家族が路頭に迷い苦しんでいたなら、家族を助けてやってほしい”と書かれていた。
賢一郎から宮部のメモを見せられ松乃は泣き崩れる。それでも松乃は頑なに賢一郎の援助を拒んでいたが、給料が出るたびに大阪へ通っては援助の手を差し伸べる賢一郎の誠実さにほだされ、徐々に心を許していく。
賢一郎も最初は宮部への感謝と義務だったが、今では松乃と清子を支えられる事が喜びになっていた。それを聞いた松乃は宮部が”生まれ変わってでも君と清子の元に帰ってくる”と言った約束を守り、賢一郎を自分のもとによこしてくれたのだと思えると話す。そして2人は結婚した。
その後、2人が宮部の話をすることは1度もないが、2人とも宮部への感謝の気持ちを忘れたことも一度もなかった。
自分たちだけが特別なのではない、戦争で生き残った責任を果たさなければならない。賢一郎は宮部のことを実の孫:健太郎たちに語り告げて良かったと話す。
松乃は賢一郎が訪ねてくる前、騙されてヤクザの囲い者にされそうになった事があるが、その際、助けてくれた人がいた事を賢一郎に話す。
「血の付いた刀を持っていた」という、助けてくれたその人は誰だったんだろうな・・・と賢一郎。
恐らくそれは、「その刀は血を吸っている」と言っていた景浦。
エンディング
祖父の願い、生き様に思いをはせる健太郎。
前方から飛行機が飛んでくる・・・ゼロ戦?
おじいちゃん? 敬礼し健太郎を見つめる宮部
宮部の存在は健太郎たちの中でこれからも生き続けていく。
(C)「永遠の0」製作委員会
監督 : 山崎 貴 時間 : 2 時間 24 分 発売日 : 2014/7/23 販売元 : アミューズソフトエンタテインメント DVD Amazon Blue-Ray Amazon |