2019年の映画「アイネクライネナハトムジーク」の詳細です。
三浦春馬 29歳。
伊坂幸太郎原作の10年を超えて繋がる「恋」と「出会い」の物語。春馬くんの役は、どこにでもいるようなごく普通の青年「佐藤」。
主役でありながら、彼の友人や、その他のストーリーの登場人物の役名はすべてフルネームなのに、なぜか「佐藤」は苗字のみ。
あくまでも【普通の男】がテーマの出会いにまつわるストーリー。
相手役の多部未華子とは4年ぶり3度目の共演。(「4年ごとに共演するね」と2人で話していましたよね)
※公開は、前回の共演ドラマ「僕のいた時間」(2014年)の5年後です。
アイネクライネナハトムジーク
2019年9月20日 公開
以下から動画配信サービスでも見られます。
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公式サイト(GAGA) アミューズのサイト
『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』とは
1787年8月10日にウィーンで作曲された、モーツァルトの楽曲の中でも非常に有名なセレナーデ曲の一ひとつ。”ある小さな夜の曲”という意味を持つ
(Eine kleine Nachtmusik)K. 525
小説『アイネクライネナハトムジーク』は、
原作者:伊坂幸太郎が、ミュージシャン:斉藤和義の「幸福な朝食 退屈な夕食」を聴いたことから会社を辞めて専業作家になる事を決めたというほどのファンであった事から交流。2007年3月、伊坂が小説を書き、それを原案に斉藤が音楽をつくるというコラボが実現したもの。
「幸福な朝食 退屈な夕食/斉藤和義」
原作は以下です。
| 妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。 Amazonで探す |
ロケ地について
2018年4月上旬~5月上旬にかけてオール仙台・宮城ロケで撮影。
第6回仙台シネマ認定
仙台を舞台としてロケーション撮影を実施し制作されるなど、特に仙台市の観光振興およびシティセールスに資すると認められる作品を「仙台シネマ」として仙台市が認定するもの。ロケ地紹介(公式サイト内)
「ロケ地マップ」もダウンロード可能です。(PDF形式)
スタッフ
監督:今泉力哉
脚本:鈴木謙一
原作者:伊坂幸太郎
主題歌
音楽:斉藤和義「小さな夜」
予告動画
| 監督 : 今泉力哉 時間 : 1 時間 59 分 発売日 : 2020/3/25 出演 : 三浦春馬, 多部未華子, 矢本悠馬, 貫地谷しほり, 原田泰造 販売元 : アミューズソフト Amazonで探す |
キャスト
相関図
複数のストーリー、それぞれの物語が緻密な計算によって繋がる。
佐藤(三浦春馬)のストーリー
三浦春馬(佐藤)
多部未華子(佐藤の恋人:本間紗季)
原田泰造(佐藤の同僚:藤間)
こだまたいち(ストリートミュージシャン:斉藤さん)
矢本悠馬(佐藤の友人:織田一真)
森絵梨佳(織田の妻:織田由美)
恒松祐里(織田の娘:織田美織)
美奈子(貫地谷しほり)のストーリー
貫地谷しほり(美容師:美奈子)
MEGUMI(板橋香澄)
成田瑛基(学 [ボクサー:ウィンストン小野])
サンドウィッチマン(セコンド)
その他・繋がるストーリー
柳憂怜(久留米邦彦)
濱田マリ(久留米マリ子)
萩原利久(織田美織の同級生:久留米和人)
八木優希(織田美織の同級生:亜美子)
中川翼(いじめられている少年)
藤原季節(少年の10年後)
祷キララ(少年の姉:女子高校生)
ネタバレ詳細
序章
仙台駅前。 大型ビジョンには、日本人のボクシング世界王座をかけたタイトルマッチに沸く人々。会社員・佐藤(三浦春馬)は、街頭アンケートに立っているが、道行く人たちは見向きもしない。
美容師の美奈子(貫地谷しほり)は常連客の板橋香澄(MEGUMI)の接客をしながら、彼氏はいるのか、格闘技は好きかと聞かれ世間話。
格闘技は好きではない、彼氏はいないと聞いた香澄は、うちの弟はどうかと言い出し、「電話だけでも相手してみて」と言われる。
出会い
佐藤は大学の同級生:織田一真(矢本悠馬)の家を訪ねる。織田は既に結婚し、妻と子供2人の家庭を築いている。同じく同級生:久保田が結婚するので二次会の司会を頼まれ相談に来た佐藤。
織田の妻:由美(森絵梨佳)が「佐藤くんは彼女がいるのか」と聞くが、佐藤が答えるより前に織田は「こいつはずっと前からソロ活動」。
「会社と家の往復で出会いがない」という佐藤に「出会いがないっていう理由が一番嫌い」と織田。
「出会いってなんだ? ”外見がよく、性格も自分好み、年齢もそこそこで彼氏がいない女” が自分の前に現れてこないかなーって事だろ、そんな都合のいい事ある訳ない」と言われる。
部屋にいる美奈子に「板橋香澄の弟(学)だが、何の用か」と電話がかかる。学は姉から、「美奈子が用事があるらしいから電話しろ」と言われたらしい。
戸惑いながら「用事なんてない」と美奈子は言い、短い時間で電話を切るが、その後も週に1度くらい、かかってきては電話で雑談をするようになる。
まだ、会ったこともなく、電話で話してるだけだと知った友人(織田の妻:由美)から「会ってみろ」と言われ、思い切って誘ってみようと思った美奈子だが、その時、学が「しばらく仕事が大変で電話出来ない」と言い出す。
佐藤は会社で同僚の藤間(原田泰造)に、友達の結婚式の二次会で何をすればいいだろうと相談するが、藤間は何も答えず様子おかしい。
すると突然、叫び声をあげて立ち上がる藤間。驚いた拍子に佐藤は持っていたコーヒーを落とし、会社のパソコンをダメにしてしまう。床に座り込み泣いている藤間。
香澄とお茶をしている美奈子。学からの電話が途絶えている事や「事務職は向いていないと言っていたから転職でもするのか」などと話すと、「事務職??学がそう言った??」と驚く香澄。
香澄は近くで新聞を見てる人を見て、「あれ、明日、ヘビー級の世界戦があるんだけどそれで挑戦者が勝ったら、あなたに告白しようと考えてるみたい」と言うが、それを聞いた美奈子は「そんなの他力本願でおかしい。店に戻る」と行ってしまう。
ほとんどのデータはバックアップがあったが、失われたデータの穴埋めに街頭アンケートを命じられる佐藤。
あれから藤間は会社に来ておらず、しばらく有給で休むことになったと上司。妻が子供を連れて出て行ってしまい、連絡も取れないらしい。
街頭アンケートで仙台駅前に立つ佐藤。大型ビジョンには、日本人のボクシング世界王座をかけたタイトルマッチ。
人々は佐藤の声かけに見向きもしない。そこへ、ふと、ストリートミュージシャン(こだまたいち)のギターの弾き語りが聞こえてくる。
家でタイトルマッチのテレビをつけている美奈子。段々と引き込まれて行く。
駅前の佐藤。
♪先週彼女に言われた不意の一言
「ねぇ、なんで私たち一緒にいるんだっけ?」
小さな夜 数え切れないほど 思い出せないほど 重ねてきた
小さな夜 劇的じゃないけれど 風は緩いけど
それも“悪くない”のに♪
歌に聴き入る本間紗季(多部未華子)と目が合い思わず声をかけると、快くアンケートに応えてくれた。彼女は現在、仕事を探しているフリーターだと言う。
彼女の手に書かれた「シャンプー」の文字。今日は安いので忘れないようにメモしたと聞き、微笑む佐藤。
思わず力が入り、挑戦者を応援する美奈子。
挑戦者が勝利した直後、携帯電話が鳴り、学かと期待するが相手は香澄。「ごめんね、学じゃなくて。たぶん学からの電話は深夜になると思う。私の旧姓は小野。」
そう言われやっと気づいた美奈子。この挑戦者が電話相手の学だった!
リングネーム:ウィンストン小野(小野 学)
TVの中では、彼が「次の挑戦は、ある女性に会う事です」
藤間が久しぶりに出社し、こないだのヘビー級の試合で勇気づけられたと話す。
ある日、織田の家を学と一緒に訪れる美奈子。佐藤も来る予定だが、遅れている。佐藤はどうしても小野のサインが欲しいらしい。
その頃、織田の家へ向かう途中の佐藤は、公園でいじめを目撃。声をかけると「遊んでただけだ」と加害少年たちは立ち去ってしまう。
被害少年も逃げるようにその場を離れようとするが、「鼻血!」と追いかけハンカチを貸してあげる佐藤。そこへ織田から「遅いぞ」と電話が入り、状況を知った織田が、小野と一緒に公園へ。
織田と佐藤が「この人(小野)世界チャンピオンだぞ!」と言うが愛想のない少年。そこへ少年の姉が現れ、弟は耳が悪いと話す。後天性でまったく聞こえない訳ではないが、補聴器をつけてなんとか聞こえる程度。そのせいでいじめにあっているらしい。
小野がシャドウボクシングをしながら、「聞こえなくても出来る事がある。ボクシングでもすれば?」
織田が「今度いじめられたら棒でもへし折って驚かせてやれ!」と落ちていた木の棒を拾い、折ろうと試みるも折れず、少年も挑戦してみるが無理だったが、小野がいとも簡単に真っ二つに。
居酒屋で、小野からもらったサインを藤間に渡す佐藤。藤間は娘に喜んで欲しいので、このサインは娘にあげるらしい。
最近、”出会い” が気になっていると、藤間に奥さんとの出会いを訪ねてみると、向かいから歩いてきた女性が財布を落とし、それを拾ったのが自分だったと言う藤間。
劇的な出会いを求めている佐藤は、同僚の藤間から聞いた話を、友人の織田にするが、
「出会い方なんでどうでもいい」
「後から ”あの時あそこで会ったのが彼女で良かった” と幸運に感謝するような出会いが一番だ」
「好きになったのが この子で良かったと後から思える事の方が、財布が落ちる出会いよりも凄い事なんだ」と織田。
「結局、出会いはあった方がいい訳?ない方がいい訳? ってか、ノロケ?」と二人を見る佐藤。
「まあな!!」と言いながらむせる織田・・。
家でウィンストン小野のポスターを見ながらボクシングのポーズをとる少年。その姿を見つめる姉。
会社では、次の試合は娘と一緒に観に行く事にしたと藤間。
奥さんが家を出て行った理由がわかったと言う。
「出て行く前の日。俺が買ってきたYシャツのタグを切るのに使ったハサミを片付けなかった。いつもなら彼女が片付けてくれるか、自分に注意するが、今回は”何もしなかった” そういう事だ。そういう積み重ねが風船みたいに弾けたんだと思う。」
佐藤「それでも、財布を落としたのが他の人じゃなく、奥さんで良かったと思いますか?」
藤間「そうだな・・・彼女で良かった。ついてたな 俺は」
久保田の結婚式二次会でやるビンゴ大会の景品を買いに来た佐藤は、駅前で街頭アンケートに答えてくれた女性によく似た後姿を見つける。
彼女ではなかったが、その時、彼女の手に書かれていた ”シャンプー” の文字を思い出し、景品にシャンプーを買う。
再会
結婚式の日。そしてウィンストン小野の防衛戦の日。
織田の妻:由美も同級生で、織田だけでなく佐藤や他の同級生たちからも憧れの的だった由美だが、小さな子供がいるので結婚式には参加せず、迎えに来た佐藤と夫を見送る。
結婚式に向かう2人は、道路工事で渋滞にはまる。そこで誘導しているのは、なんとあの時(街頭アンケート)の女性??
娘の手を引きボクシング会場に入る藤間。試合が始まる。
やっと工事区間の渋滞を通り過ぎた佐藤は、車を停め、織田の制止も聞かず、積み込まれているビンゴ景品をひっかきまわしている。
そして一つを手にとると工事現場へ走り出し、彼女に声をかけ、
彼女の方も、あの時のアンケートの人だと気づいたところで、シャンプーを渡す佐藤。
いきなりの事に、自分でも「こんなところで渡されてもねぇ」と照れ笑いをする佐藤。
その頃、チャンピオンはダウン。試合には負けてしまう。
その後、前に公園で会った少年の姉から小野に来たハガキ
あなたが負けたから弟が落ち込んでいます。期待させないでください。
いじめにあっていたが前向きになりかけていた少年が、また落ち込んでしまっている様子。言葉もなくハガキを見つめる小野。
10年後
とある家族がファミレスで食事中。父親は魚が食べたいと言い、魚料理を注文していたが、運ばれてきた肉料理に「それでいい」と妥協するが、高校生の息子は、そんな父親が気に入らず、「あんな生き方はしたくない、波風立てないように我慢して一生 人に頭を下げて生きていくのはいやだ」と。
母親は「自分たちだって若い頃はそんな風に考えてた、周回遅れなんだから偉そうにするな。歯車をなめるな、どんな人も基本的には歯車」と息子を諭す。
この高校生は織田美織(佐藤の友人:織田の娘)の同級生で久留米和人。
ある日、学校で久留米は美織に「ちょっと付き合ってほしい」と言われ、放課後に2人、それぞれの自転車で向かった先は駅にある有料駐輪場。入口にある券売機でシールを買い、自分の自転車に貼るのがルールだが、昨日、ちゃんと貼ったシールが帰りにはなくなっていて、注意の札を貼られていた事に納得いかず、「絶対に誰かが獲った、犯人を捜すのを手伝え」と言う。
そこへシールを買わずに自転車を止め、近くの自転車からシールを剥がした中年男性を見つけ、美織は問い詰めるが「しらん、大人をなめるな、証拠もないのに!」などと言い合いになり、美織は腕をつかまれる。
そこへ偶然、通りかかった男性が
「そちらのお嬢さんが、どちらの娘さんかご存じなのかと・・もし知っているのにそんな事をしてるなら命知らずだなと・・。では、お嬢様、私の事はお父様にはご内密に」 と言い、立ち去る。
犯人はヤバイ状況だと思い込み、ビビってシールを買っていく事になるが、美織の父は居酒屋務め。中年男性がトラブルになっているのを見かけて助ける為に言ったハッタリだった。そして助けてくれた男性は、久留米が軽蔑していた父親!意外な父親の姿に驚く久留米。
佐藤と紗季は、再会した後、つき合う事になり同棲しているが、工事現場で再会したシーン以来、説明はなく、この10年後のシーンになります。
すれ違う
夜景の見えるレストランを予約し、紗季と食事をする佐藤。食後のコーヒーを飲んでいるが、佐藤の固い表情になんだか変な空気。
食事を終えての帰り道、牛乳がなかったから買ってくるという紗季を呼び止め「ほんとはさっきの店で言おうと思ってたんだけど、、、」とモジモジしながら切り出す佐藤。
佐藤「俺たち出会ってからもう今年で10年になるじゃない。だから、そろそろどうかなーっと思って・・・つまり、、、僕と結婚、、、どうかな」
と指輪を取り出す佐藤に「どうしてさっき言わなかったの」と紗季。お店の中じゃ迷惑かもと思い言い出せずにいたと言う佐藤。
紗季は「考えさせて」と答える。
部屋に戻った2人。佐藤は「それはダメってこと?突然って言うけど俺たちもう10年つきあってるんだし」と言うと、紗季は「10年付き合ったら結婚なのか。よくわからなくなった」
紗季「あたしたちって なんで一緒にいるんだっけ」
ウィンストン小野が初防衛線で失敗してから10年。またチャンピオンに挑戦する事に。
プロポーズに失敗した佐藤は、妻子が家を出て行った後の藤間のようにならぬよう、しばらく会社を休む。紗季もしばらく実家に帰ると置手紙を残し、2人で暮らしていた部屋からいなくなってしまった。
10年前、佐藤がウィンストン小野からもらったサインを藤間に渡したが、藤間は別れた妻と暮らす娘にあげていたのだが、その娘が、塾で事務をしている紗季に見せに来ていた。
娘は織田美織の同級生の亜美子(八木優希)で、「父の後輩がわざわざもらってくれた」と話し、紗季はそれが佐藤だとは知らず「いい人だね、その人」と笑顔で応じている。
美織は家で父が用意したウィンストン小野の試合チケットを前に「お父さんと一緒には行きたくない」と言い、母親:由美と喧嘩をし、家を出る。
ドラッグストアで偶然に佐藤と会う美織。美織は小さい頃から佐藤の事を呼び捨てにしており、なついていた。
父親に対する不満、父をかばう母親への不満を口にする美織。佐藤はみんなの憧れだった由美が織田と結婚したのは驚いたが、「織田で良かった」と言う。
織田は由美が美織を妊娠したと知った際、なんの迷いもなく大学を辞めて居酒屋で働き始めた。それを見てきた佐藤は織田の事を尊敬している。「後になってあの時、この人に出会えてよかった”って思えるのが一番だ」と昔、織田に言われたがその通りだと美織に話す。
美織は帰宅後、母にも父で良かった、この4人家族が好きだと聞き、ボクシングに行く事に決め、亜美子を誘う。久留米が放課後、美織を誘うが、バイトを始めたと断る。
ウィンストン小野は、美奈子と結婚し息子が生まれている。
試合の日、東京へ出かける亜美子は偶然にバスで紗季に会い、「久留米は美織が気になっていて、今度のチャンピオン戦で小野が勝ったら告白しようと決めているらしいが、そんなの他力本願で微妙。好きなら好きと言えばいいのに」と言うと
紗季は「段々いろんな事に慣れてしまって、自分がどうしたいかわからなくなる事がある。何かにキッカケを求めたり、誰かに背中を押してもらおうとしたり」と話す。
想いは伝わるか
ウィンストン小野が試合前インタビューで「先の事は考えず、この試合に集中して臨む」と言っているのをTVで見ていた佐藤。出かける支度をしている。
10年前、紗季に会ったのはウィンストン小野がチャンピオンに挑戦した試合の日だった。佐藤は仙台駅前へ行ってみる。
紗季は仙台駅前でまた、ストリートミュージシャンの前に立っている。
少し後、佐藤もその場へ行ってみるが、紗季はいない。
歩道橋を降りて行く紗季を見つける。
ボクシングの試合開始が、駅前大型ビジョンに映し出されている。佐藤は走り出す!慌てて歩道橋を走り降りながら「ちょっと待って!紗季ちゃん!」と叫ぶが、紗季には聞こえず、バスに乗り行ってしまう。バスを追いかける佐藤。
試合序盤、打たれている小野
走る佐藤
倒れる小野
走る佐藤
それぞれの場所で観戦している人たち。「立って!」「立て!」
立ち上がる小野
バス停で追いつきそうになるが、タッチの差でバスが発進。別のルートへ走り出す佐藤
朦朧としながら客席の声援が聞こえている小野
一人、立ち上がった青年が目に入る
青年(藤原季節)は棒を持ち、真っ二つに割っている。10年前、公園でいじめにあっていた少年に、小野が見せたパフォーマンスを真似している、あの時の少年だった。
それを見た小野は笑顔を浮かべ、胸を叩き、次のラウンドへ
佐藤はずっと走っている。バスはすぐそこに・・。その時、何か見つけたのか、右側をチラッと見たが走りすぎ、偶然落ちていた枝を踏み、枝が真っ二つに!
その瞬間、バスに乗っている紗季が佐藤に気づくが、佐藤はなぜか回れ右してバスの反対へ走って行ってしまう。
さっき見た場所に、うずくまっていた少年を起こす佐藤。その様子を見ている紗季。
少年は大丈夫だった。すぐに母親が来て一緒に歩き出す。、、その間にバスは発車。へとへとの佐藤。
歩いてバス通りまで行くと、紗季が立っていた。佐藤が見え、バスを降りていたのだ。
プロポーズ失敗の日からいろいろ考えていたと話し始める佐藤。
10年前のあの日、あそこでアンケートに答えてくれたのが紗季で良かった。あれから10年経って、好きになった人が紗季で良かった。それだけ、どうしても今夜、伝えたかったと。
それだけ言うと佐藤は、「あの時の返事を」という紗季を制し、次に来たバスに紗季を乗せて「急がないから、いつでもいいから。おやすみ」と見送る。
小野は最後にダウンを奪うも、試合終了のゴングの後だったと見なされ、判定負けするが、彼の闘いぶりに満足気に帰って行くファンたち。
佐藤は、紗季に言いたい事を言えたのと、小野の試合に勇気づけられたと言い、仕事にも復帰し、明るく過ごしている。そこへ藤間から電話が入り、10年前に聞かれた自分と奥さんとの出会いの事で、彼女はどう思っていたのかを聞いてみたからと教えてくれた。
「財布を拾ったのが藤間で良かったか」という事への答えは「財布を落としたのはわざとだった」と。
小野が負けた事で、美織に告白するのを躊躇してしまう久留米だが、ある日、家族と待ち合わせしたファミレスへ行くと、オーダーミスなのか、客にひどく怒鳴られている美織を偶然見かける。
そこへ割って入り、いつかの駐輪場でのトラブルで自分の父親が使ったハッタリを言い、美織を助ける。
「この方がどなたのお嬢さんかご存じでそう言っておられるのなら命知らずだなーと。お嬢様、くれぐれもお父様にはご内密に」と言い、走り去ろうとしてまた戻り、最後に一言「お嬢様、好きです!」とどさくさに紛れて告白。
佐藤が帰宅したある日、家に明かりが点いていた。思わず速足で玄関へ急ぐ佐藤。部屋では紗季が夕飯を作って佐藤の帰りを待っていた。
お互いに「ただいま」と「おかえり」を言い合い、笑顔の二人。
久しぶりのに2人での幸せな食卓で、紗季は結婚をOKする。そこで改めてプロポーズをする佐藤。
プロポーズシーン動画
仙台駅前。「小さな夜」を聞いている久留米の隣に美織が来たシーンで THE END
(C)映画「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会
| 監督 : 今泉力哉 時間 : 1 時間 59 分 発売日 : 2020/3/25 出演 : 三浦春馬, 多部未華子, 矢本悠馬, 貫地谷しほり, 原田泰造 販売元 : アミューズソフト Amazonで探す |
「小さな夜」歌詞
歌:斉藤和義(映画内では こだまたいち)
作詞:斉藤和義
作曲:斉藤和義
どこにでもあるような ちっぽけなこの夜
見慣れたソファに猫は丸まって
エアコンの風 うなる冷蔵庫 ドラマを見てる彼女
あの頃描いた未来が今なら あの日のボクは今なんて言うのだろう
「うまくやったな」かな「それでいいの?」かな
どう答えるべきか
先週彼女に言われた不意の一言
「ねぇ、なんで私たち一緒にいるんだっけ?」
小さな夜 数え切れないほど 思い出せないほど 重ねてきた
小さな夜 劇的じゃないけれど 風は緩いけど
それも“悪くない”のに
どこにでもあるような ちっぽけなこの夜
自分の部屋に行き パソコンを開く
どうでもいいような ホントどうでもいいような ニュースに疲れて
アメリカに住むとか 英語を覚えるとか
いつかそのうちに想像してばかり
なんで私たち一緒にいるんだっけ?
そればかりグルグル
繋がってる誰かを 見つけたハズなのに
そしてそれは今夜も疑いのないことなのに
小さな夜 数え切れないほど 思い出せないほど 重ねてきた
小さな夜 劇的じゃないけれど 最高じゃないけど
それが“悪くない”のに
小さな夜 数え切れないほど 抱えきれないほど 積み重ねた
小さな夜 劇的じゃないけれど キミのとなりなら
それも“悪くない”よ
それが“悪くない”んだよ