雨に眠れ
概要
2000年5月29日にTBS系列の月曜ドラマスペシャルで放映。月曜ドラマスペシャル500回記念作で矢沢永吉主演の2時間ドラマ。
「子供の命より大切な正義なんてあるのか」ーー誘拐犯人の問い掛けに、警察官は言葉を失った。相次いで発生した未成年者誘拐事件。地道な捜査を続ける警察と、その網を巧みにかわす犯人の息づまる攻防。追う者にも追われる者にも、守るべきものがあった。
キャスト・スタッフ
原作:安井国穂「雨に眠れ」
企画:池田文雄
脚本:安井国穂
監督:油谷誠至
音楽:高梨康治
製作:TBS、池田オフィス
エンディングテーマ:矢沢永吉「フォーチュン・テイラー」
小野静夫:矢沢永吉
池上潤(静夫の息子):堀本昂弥
李安安:ビビアン・スー
李修(安安の息子):青木章悟
中原司郎(警視正):風間杜夫
中原恵理子(司郎の妻):森下愛子
中原圭太(司郎の息子):三浦春馬
木下幸嗣(世田谷北署捜査課刑事):山本太郎
多田宗平(世田谷北署捜査課刑事):苅谷俊介
榊原警視正:須藤正裕
伊藤(東京入国管理局査察官):阿知波悟美
宇田川千鶴(誘拐事件被害家族の母):石野真子
吉行医師(小児科医):寺田農
あらすじ
小野静夫(矢沢永吉)は、一人息子の池上潤(堀本昂弥)を14年前にある事件で亡くし、妻もその1年後に病死。静夫は妻の家(池上家)の婿養子だったが、妻と息子を失くしてから旧姓の小野に戻し、長く孤独の闇の中に生きていた。
過去を忘れるために住み慣れた街を離れ、今は小さな喫茶店を細々と営んでいる。そんな小野の毎日は、空虚で希望のないものだった。
ある日、小野は土砂降りの中を呆然と歩く台湾人・李安安<リ・アンアン>(ビビアン・スー)とその息子・修(青木章吾)と出会った。安安は重い心臓病を抱える修を助けるため、日本にいる修の父親を頼って来日したが、教えられた住所は全くのデタラメだったという。途方に暮れる安安たちを知人の吉行(寺田農)の病院に連れて行く。修に息子の面影を重ねた小野は、 修の手術費用を用意してやりたいと思い始める。
今まで無気力に生きてきた小野は、この親子を助ける為、とんでもない行動に出る。それは小野にとって14年前の復讐でもあった。
そんな折、幼児誘拐事件が発生。元自治大臣の稲垣広務(加島)の孫で千鶴の娘のカナが誘拐され、捜査の指揮を取るエリート警視正の中原(風間杜夫)は世田谷北署の多田や木下が他の刑事(佐和)達と共に捜査を行うが、カナは無事に戻ってきたものの身代金の780万円は奪われ犯人を逃す。
しかし今度は、なんと中原の息子が誘拐されてしまった。更に犯人の要求する身代金はまたしても780万円。犯人は同一犯と断定されたが、 今度は身内の中原に代わって警視正のサカキバラ(須藤)が指揮を執ることになる。
「お金さえ渡せば子供は無事に帰ってくる」と妻の恵理子(森下愛子)から懇願される中原。妻の恵理子に説得された中原は、 警察の人間として犯人逮捕を優先するべきなのか、父親として子供の命を優先べきなのか悩み始める。
中原と話をしていた多田は、14年前に中原が北海道警にいた頃、ある誘拐事件の捜査に関わっていたことを知る。 犯人は逮捕したのだが、そのとき誘拐された潤は犯人に殺されてしまった。当時、 自治大臣をしていた稲垣が警察には落ち度がなかったと発表しており、1年後に潤の母(藤本)が病死していることを知った多田は、 潤の父親が犯人と考えて刑事(鈴木)達と捜査を続けた。
父親として行動すべきか、それとも犯人逮捕を優先すべきか、中原は苦しい選択を迫られる。犯人の目的は?そして中途半端な身代金要求額は一体何を意味するのか…?
事件の捜査が進む中、犯人の悲しい過去とキャリア組の刑事の過去が交錯する。
春馬くんのシーン
誘拐事件の指揮をとるエリート警視正:中原司郎(風間杜夫)の息子。静夫(矢沢永吉)に誘拐される。
警察エリートの父親(風間杜夫)と、いつももめている雑誌編集者として忙しく働く母親(森下愛子)のいざこざに辟易している。
自分を誘拐した静夫だが、「何もしないし必ずうちに返すから心配するな」と圭太に約束し、食事の用意をしたり世話を焼いている。
圭太はそんな静夫を見て、怖がる様子はなく「いつ返してくれるの」と聞く。
静夫は「なるべく守りたいが絶対とは言えない。君のお父さんだってそうだろ?」
静夫は14年前に失くした一人息子の話をし、急な仕事で息子との約束を守れなくなる事は頻繁にあり、今、破った約束の分だけ新しい約束をしているとパソコンの画面に映る息子の写真を見つめる。「誕生日はずっと一緒にいる」「一緒に旅行に行く」とか・・・。
それを聞いた圭太は、いつも喧嘩ばかりしている自分の両親を思い「(自分は)そんなに大切に思われてない」と言う。誕生日にも帰って来なかったし、海に行く約束も守られなかった。自分が病気で寝ている時も、どちらも仕事で家にはいられない、お前がいろ、あなたがいろ、と言い合っているのが聞こえ、いたたまれなくなった圭太はベッドから起き出し、医者にもらった薬を部屋の窓から捨てた事もあった。
退屈そうにしている圭太に、「ゲームでもするか?パソコン教えてあげようか?」と静夫が声をかけると、圭太はパソコンにある静夫の息子:潤の写真が見たいと言うので2人で見る。
「野球好きか?」「うん、こないだグローブ買ってもらったけど、まだ使ったことない。パパは相手してくれないし」
外で父親とサッカーをしている男の子を窓から眺め、誰もいない家で一人で昼ご飯を食べながら、「お父さんとキャッチボールをしているとお母さんがお弁当を持ってきて、3人で河原に行って食べる」・・・と想像する圭太。
親にかまってほしい寂しい少年と、一人息子を亡くした寂しい男はお互いの事に思いを寄せ打ち解ける。
圭太を返す日。約束の場所にやってきて「お別れだ」と野球のボールを圭太に渡す。
エンドロールで・・・
圭太の父親も事件を通じて家族の形を考え直し、圭太とキャッチボールをしたり、家族3人でピクニックに出かけたりするようになる。
視聴方法
非公式のYouTube動画(春馬くんシーンのみ)
時間:1 時間 35 分 発売日:2007/12/5 販売元: CCRE株式会社 ディスク枚数 :1枚 |