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日本ホラー小説大賞とは?1994~2018年・受賞作品のすべて

文学賞
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日本ホラー小説大賞とは

1994年、角川書店とフジテレビによって、「同じ時代を生きている全ての読者と、恐怖を通して人間の闇と光を描こうとする才能豊かな書き手のために」をコンセプトとして設けられた。

第2回から第18回までは、長編部門と短編部門に分けて募集され、それぞれ長編賞と短編賞が授与された。また、両部門の中でもっとも優れた作品が大賞に選出された。第19回以降は、大賞、優秀賞(佳作)のほか、一般から選ばれたモニター審査員が選ぶ読者賞が選出される。

第25回(2018年)を最後に、同じKADOKAWA主催の横溝正史ミステリ大賞と統合され、2020年から新たに「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」に衣替えされる予定。

大賞受賞作品は、角川書店より単行本として刊行され、読者賞受賞作品は、角川ホラー文庫より刊行される。フジテレビによりテレビドラマ化、映画化・ビデオ化される場合もある。

(ウィキペディアより)

 

主催:株式会社KADOKAWA
一般財団法人角川文化振興財団

 

出典:ウィキペディアKADOKAWA

受賞作品のすべて

第25回(2018年)
大賞 秋竹サラダ/祭火小夜の後悔

怪異現象に立ち向かうニューヒロイン誕生!
第25回日本ホラー小説大賞〈大賞&読者賞〉受賞作 ホラ大初のダブル受賞

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大賞 福士俊哉/黒いピラミッド

「黒いピラミッドが見える…あのアンクは呪われているんだ…」聖東大学で起きた殺人事件。犬のマスクを被り古代エジプト研究室に乱入、教授を撲殺した男の最後の言葉を耳にした専任講師の日下美羽は、「呪われたアンク」に導かれるようにエジプトの地へ降り立つ。辿り着いた砂漠の果ての呪われた遺跡で美羽が目にしたのは―。

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第24回(2017年)
大賞 該当なし
優秀賞 木犀あこ/奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い

霊の見える新人ホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』の編集者・善知鳥とともに、新作のネタを探していた。心霊スポットを取材するなかで、姿はさまざまだが、同じ不気味な音を発する霊と立て続けに遭遇する。共通点を調べるうち、ふたりはある人物にたどり着く。霊たちはいったい何を伝えようとしているのか?

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優秀賞 山吹静吽/迷い家

昭和20年。疎開先で妹・真那子が神隠しに。11歳の少年・遠野心造は、妹を探し巨大な屋敷に足を踏み入れる。謎の犬「しっぺい太郎」に助けられ、怪異と戦う心造の胸には、いつしか紅蓮の野望が芽生え――

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読者賞 野城亮/ハラサキ

百崎日向には幼少期の記憶がほとんどない。覚えているのは夕陽に照らされる雪景色だけだった。結婚が決まり、腹裂きの都市伝説が残る、故郷の竹之山温泉に向かう電車の中で日向は気を失う。目覚めるとそこは異世界の竹之山駅だった。女性の死体、襲いかかる黒い影、繰り返される残酷な悪夢。失った記憶を取り戻したとき、真の恐怖が日向を襲う―。戦慄のノンストップホラー。

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第23回(2016年)
大賞 該当なし
優秀賞 坊木椎哉/きみといたい、朽ち果てるまで

かつてこんなにも凄絶で美しいエンディングがあっただろうか――選考委員も絶賛した、生と死、夢と絶望が同居する混沌とした街で繰り広げられる、壊れたながらも究極に美しいボーイ・ミーツ・ガールの物語。

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読者賞 最東対地/夜葬

ある山間の寒村に伝わる風習。この村では、死者からくりぬいた顔を地蔵にはめ込んで弔う。くりぬかれた穴には白米を盛り、親族で食べわけるという。この事から、顔を抜かれた死者は“どんぶりさん”と呼ばれた―。スマホにメッセージが届けば、もう逃れられない。“どんぶりさん”があなたの顔をくりぬきにやってくる。脳髄をかき回されるような恐怖を覚える、ノンストップホラー。

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第22回(2015年)
大賞 澤村伊智/ぼぎわんが、来る

“あれ”が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいかん―。幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。それ以降、秀樹の周囲で起こる部下の原因不明の怪我や不気味な電話などの怪異。一連の事象は亡き祖父が恐れた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか。愛する家族を守るため、秀樹は比嘉真琴という女性霊能者を頼るが…!?

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優秀賞 名梁和泉/二階の王

30歳過ぎのひきこもりの兄を抱える妹の苦悩の日常と、世界の命運を握る“悪因”を探索する特殊能力者たちの大闘争が見事に融合する、空前のスケールのスペクタクル・ホラー!二階の自室にひきこもる兄に悩む朋子。その頃、元警察官と6人の男女たちは、変死した考古学者の予言を元に“悪因研”を作り調査を続けていた。ある日、メンバーの一人が急死して…。

読者賞 織守きょうや/記憶屋

大学生の遼一は、想いを寄せる先輩・杏子の夜道恐怖症を一緒に治そうとしていた。だが杏子は、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人「記憶屋」を探しに行き、トラウマと共に遼一のことも忘れてしまう。記憶屋など存在しないと思う遼一。しかし他にも不自然に記憶を失った人がいると知り、真相を探り始めるが…。記憶を消すことは悪なのか正義なのか?

第21回(2014年)
大賞 雪富千晶紀/死呪の島

海神信仰が残る須栄島。島では沈没客船が漂着したことを皮切りに謎の怪異が次々と起こり、死者がでてしまう。島の高校生・杜弥は被害者すべてが、好意を寄せる同級生・椰々子の関係者だと気づき……。

佳作 岩城裕明/牛家

ゴミ屋敷にはなんでもあるんだよ。ゴミ屋敷なめんな―特殊清掃員の俺は、ある一軒家の清掃をすることに、期間は2日。しかし、ゴミで溢れる屋内では、いてはならないモノが出現したり、掃除したはずが一晩で元に戻っていたり。しかも家では、病んだ妻が、赤子のビニール人形を食卓に並べる。これは夢か現実か―表題作ほか、狂おしいほど純粋な親子愛を切なく描く「瓶人」を収録した、衝撃の日本ホラー小説大賞佳作!

読者賞 内藤了/ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子

奇妙で凄惨な自死事件が続いた。被害者たちは、かつて自分が行った殺人と同じ手口で命を絶っていく。誰かが彼らを遠隔操作して、自殺に見せかけて殺しているのか?新人刑事の藤堂比奈子らは事件を追うが、捜査の途中でなぜか自死事件の画像がネットに流出してしまう。やがて浮かび上がる未解決の幼女惨殺事件。いったい犯人の目的とは?

第20回(2013年)
大賞 該当なし
優秀賞 倉狩聡/かにみそ

全てに無気力な20代無職の「私」は、ある日海岸で小さな蟹を拾う。それはなんと人の言葉を話し、体の割に何でも食べる。奇妙で楽しい暮らしの中、私は彼の食事代のため働き始めることに。しかし私は、職場でできた彼女を衝動的に殺してしまう。そしてふと思いついた。「蟹…食べるかな、これ」。すると蟹は言った。「じゃ、遠慮なく…」。捕食者と「餌」が逆転する時、生まれた恐怖と奇妙な友情とは。話題をさらった「泣けるホラー」。

読者賞 佐島佑/ウラミズ

怪しい健康食品会社に勤める真城は霊が視えてしまう特殊体質。気味の悪い霊の出現と毎日の仕事にウンザリしていた。そんなある日に出会った早音は、なんと霊を水入りのペットボトルに封じる不思議な力を持っていた。その水から強力な霊を発生させる「ウラミズ」を作りだした2人は、新たなビジネスを始めようとするが、思わぬ邪魔者や真城に接近する妖艶な美女・狐寝子が現れ…。

 

 

第19回(2012年)
大賞:小杉英了/先導者
15歳のとき、ある組織から「先導者」として認可された“わたし”。死者に寄り添い、来世でも恵まれた人間として転生できるように導く役割を託されていた。突然の命令に戸惑いながらも、寡黙な世話人、曾祢の献身に支えられ、“わたし”は過酷な訓練を積んでいく。そしてついに最初の任務を果たすときが来たが…。葛藤しながら生きるひとりの少女の自我の芽生えを、繊細かつ鮮烈に描く。

 

読者賞:櫛木理宇/ホーンテッド・キャンパス
怖がりなのに幽霊が「視えてしまう」体質の大学生・八神森司は、片想いの美少女・こよみを追いかけ、オカルト研究会に所属することに。ある日オカ研に、女の顔の形の染みが壁に浮き出るという悩みが寄せられて……!?

 

第18回(2011年)
大賞:なし

 

長編賞:堀井拓馬/なまづま
激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻を蘇らせるため、ヌメリヒトモドキの密かな飼育に熱中していく。悲劇的な結末に向かって……。選考委員絶賛、若き鬼才の誕生!

 

短編賞:国広正人/穴らしきものに入る
穴、穴、穴。なぜか穴に入る魅力に目覚めた僕は、ホースや同僚の口を手始めに、どんな穴でも入りたくなるようになった。その欲望の果てにあるものは――?

 

第17回(2010年)
大賞:一路晃司/お初の繭
12歳で製糸工場に働きに出ることになった少女・お初。年頃の少女たちの集団生活は、予想に反し快適であったが、次第にのがれられない惨劇へと変貌する……

 

長編賞:法条遥/バイロケーション
画家を志す忍は、自分と同じ人間が現れるという奇妙な事態に遭遇する。同じ境遇で悩む人々は、それを「バイロケーション」と呼んでいた。従来のドッペルゲンガーとは異なる新たな二重存在を提示した、新感覚ホラー!

 

短編賞:伴名練/少女禁区
15歳の「私」の主人は、たぐいまれな呪詛の才を持つ、驕慢な美少女。「死ぬまで私を楽しませろ」親殺しの噂もあるその少女は、あらゆる呪詛を用いて彼を玩具のように扱うが……甘美な痛みに満ちた、死と少女の物語!

 

第16回(2009年)
大賞:宮ノ川顕/化身
まさかこんなことになるとは思わなかった──。日常に厭き果てた男が南の島へと旅に出た。ジャングルで彼は池に落ち、出られなくなってしまう。耐え難い空腹感と闘いながら生き延びようとあがく彼の姿はやがて、少しずつ変化し始め……。孤独はここまで人を蝕むのか。圧倒的筆力で極限状態に陥った男の恐怖を描ききる。

 

長編賞:三田村志郎/嘘神
「ここを出たくば、生き残れ」。コーイチたち高校の仲間6人が目覚めると、そこは出口のない部屋だった。「嘘神」の示す7つのルールが、非情なゲームの始まりを告げる。

 

短編賞:朱雀門出/今昔奇怪録
町民会館の書棚で見つけた古い書物。その一編を読むと、地域の怪異の記録のようだ。何かに導かれるようにその怪録を持ち帰ると、帰りに何故か読んだ一編と同じような怪異を体験してしまう。受賞作を含む5編を収録。

 

第15回(2008年)
大賞:真藤順丈/庵堂三兄弟の聖職
全選考委員、絶賛! 第15回日本ホラー小説大賞・大賞受賞作、待望の文庫

遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まるが、かつてない難しい依頼が舞い込んで!?

 

長編賞:飴村行/粘膜人間
「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。

 

短編賞:田辺青蛙/生き屏風
村の酒屋の死んだはずの奥方が、あの世から戻ってきて家の屏風に取り付いてしまった。村はずれに住む妖鬼の皐月は、屏風の奥方の相手をして、退屈を紛らわしてほしいと頼まれ、しぶしぶ出かけていったのだが――。

 

短編賞:雀野日名子/トンコ
高速道路で運搬トラックが横転し、一匹の豚、トンコが脱走した。先に運び出された兄弟たちの匂いに導かれてさまようが、なぜか会うことはできない。彼らとの楽しい思い出を胸に、トンコはさまよい続ける…。日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作をはじめ、親の愛情に飢えた少女の物語「ぞんび団地」、究極の兄妹愛を描いた「黙契」を収録。人間の心の底の闇と哀しみを描くホラーの新旗手誕生。

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第14回(2007年)
大賞:なし

 

短編賞:曽根圭介/鼻
人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、二人の少女の行方不明事件を捜査している。そのさなか、因縁の男と再会することになるが…。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二編を収録。大型新人の才気が迸る傑作短編集。

 

第13回(2006年)
大賞:なし

 

長編賞:矢部嵩/紗央里ちゃんの家
叔母からの突然の電話で、祖母が風邪をこじらせて死んだと知らされた。小学五年生の僕と父親を家に招き入れた叔母の腕もエプロンも真っ赤に染まり、変な臭いが充満していて、叔母夫婦に対する疑念は高まるけれど、急にいなくなったという従姉の紗央里ちゃんのことも、何を訊いてもはぐらかされるばかり。洗面所の床から、ひからびた指の欠片を見つけた僕は、こっそり捜索をはじめるが…。

 

短編賞:吉岡暁/サンマイ崩れ
熊野山地の集落で台風による山崩れが起こった。パニック障害と離人症性障害のため入院中だった僕は、いてもたってもいられなくて、病院を抜け出した。現地対策本部で出会った不思議な老人ワタナベさんと二人の消防団員とともに、土砂崩れで流された墓地の応急処置に向かうが…。第13回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作のほか、書き下ろし中編「ウスサマ明王」を併せて収録する。

 

第12回(2005年)
大賞:恒川光太郎/夜市
何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した裕司だったが、常に罪悪感にさいなまれていた――。

 

長編賞:大山尚利/チューイングボーン
僕がビデオを回すたび、人が死ぬ?。第12回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作
原戸登はゼミの同級生の女性に列車の最前列から三度、外の風景を撮影してほしいと頼まれる。登は一度ならず二度までも列車に人間が衝突する場面を撮影してしまう。そして三回目。更なる事態が登を襲う…。

 

短編賞:あせごのまん/余は如何にして服部ヒロシとなりしか
クリクリとよく動く尻に目を射られ、そっと後をつけた女は、同級生服部ヒロシの姉、サトさんだった。ヒロシなら、すぐ帰ってくるよ―。風呂に入っていけと勧められた鍵和田の見たものは、緑色の張りぼての風呂桶。そこに裸のサトさんが入ってきて…。ゆっくりと自分が失われていく恐怖を描く。

 

第11回(2004年)
大賞:なし

 

佳作:早瀬乱/レテの支流
まったく予想できない奇想の連続。第11回ホラー小説大賞長編佳作
S大学研究室では記憶を消す方法がひそかに研究されていた。元芸能人だった怜治は、栄光の時代の記憶を消してもらう。その二ヶ月後、怜治は十五年前自殺したはずの高校の同級生を目撃する……!

 

短編賞:森山東/お見世出し
お見世出しとは、京都の花街で修業を積んできた少女が舞妓としてデビューする晴れ舞台のこと。お見世出しの日を夢見て稽古に励む綾乃だったが、舞の稽古の時、師匠に「幸恵」という少女と問違われる。三十年前に死んだ舞妓見習いの少女・幸恵と自分が瓜二つだと知り、綾乃は愕然とするが―。千二百年の都・京都を舞台に繰り広げられる、雅びな恐怖譚。第十一回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作に二編を加えた珠玉の短編集。

 

短編賞・佳作:福島サトル/とくさ
土台許されない事なのよ。死んだ人間の言葉を呼び返すなんて。
新聞記者の職を辞した私は、突然訪ねてきた男に雑誌記事の執筆を依頼されるが、幻聴に追われ、取材相手だった老婆の死に遭遇する。庭に増殖しつづける木賊。言葉のもつ呪術的な力が次第に現実感覚を失わせてゆく。

 

第10回(2003年)
大賞:遠藤徹/姉飼
さぞ、いい声で鳴くんだろうねぇ、君の姉は――。蚊吸豚による、村の繁栄を祝う脂祭りの夜。小学生の僕は縁日で、からだを串刺しにされ、伸び放題の髪と爪を振り回しながら凶暴にうめき叫ぶ「姉」を見る。どうにかして、「姉」を手に入れたい……。僕は烈しい執着にとりつかれてゆく。「選考委員への挑戦か!?」と、選考会で物議を醸した日本ホラー小説大賞受賞作「姉飼」はじめ四篇を収録した、カルトホラーの怪作短篇集!

 

長編賞:保科昌彦/相続人
スポーツ紙の記者、牧野文哉は母校・東学大のアメフト部の試合取材中に美しい女性記者、北川沙織と出会い心惹かれる。しかし、その夜、東学大のアメフト部員が謎の事故死を遂げたのをきっかけに、主要なメンバーが次々と変死していく。なぜかその死の背後には、常に沙織の影がちらついているのだった。事件に興味を抱き、独自に調査を開始した牧野だったが…。人間の「罪と罰」を問う、ホラーミステリーの大作!

 

短編賞:朱川湊人/白い部屋で月の歌を
ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。仕事は霊魂を体内に受け入れること。彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。だが、白い部屋でエリカと語ったジュンはその面影に恋をしてしまったのだった…。斬新な設定を意外なラストまで導き、ヴィジョン豊かな美しい文体で読ませる新感覚ホラーの登場。

 

第9回(2002年)
大賞:なし

 

第8回(2001年)
大賞:伊島りすと/ジュリエット
南の島に移り住んだ家族の周囲で起こる不思議な出来事。ホラー小説の領域を新たに広げた大傑作!

 

長編賞:桐生祐狩/夏の滴
僕は藤山真介。徳田と河合、そして転校していった友達は、本が好きという共通項で寄り集まった仲だったのだ―。町おこしイベントの失敗がもとで転校を余儀なくされる同級生、横行するいじめ、クラス中が熱狂しだした「植物占い」、友人の行方不明…。混沌とする事態のなか、夏休みの親子キャンプで真介たちが目の当たりにした驚愕の事実とは!?子どもたちの瑞々しい描写と抜群のストーリーテリングで全選考委員をうならせた第八回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。

 

短編賞:吉永達彦/古川
一九六〇年代初頭、大阪の下町を流れる「古川」。古川のほとりの長屋では、小学生の真理とその家族がつつましく暮らしていた。しかし、ある嵐の夜、真理の前に少女の幽霊が現れて―。ノスタルジックなイメージに満ちた、「癒し系」ホラー小説。

 

第7回(2000年)
大賞:なし

 

第6回(1999年)
大賞:岩井志麻子/ぼっけえ、きょうてえ
岡山の遊郭で醜い女郎が客に自分の身の上を語り始める。間引き専業の産婆を母にもち、生まれた時から赤ん坊を殺す手伝いをしていた彼女の人生は、血と汚辱にまみれた地獄道だった……。

 

佳作:牧野修/スイート・リトル・ベイビー
ボランティアで児童虐待の電話相談をしている秋生。彼女自身、かつて育児ノイローゼになりかけていたところを保健婦に救われたという過去があった。人はなぜ、幼い子供を虐待しなくてはならないのか―そんな疑問を抱く秋生のもとにかかってきた一本の電話。それをきっかけに、彼女は恐ろしい出来事へと巻き込まれていく―。

 

短編賞・佳作:瀬川ことび/お葬式
授業中に突然鳴り出したポケベルの電子音。あわてて見た液晶画面に表示されたメッセージは『チチキトク』。病院で、豪華なカタログをかかえてやってきた葬儀社を丁重に追い返して母は言った。「うちには先祖伝来の弔い方がございます―」。(「お葬式」)。日常のなかの恐怖を、ユーモラスに描く、青春ホラー小説の誕生。

 

第5回(1998年)
大賞:なし

 

第4回(1997年)
大賞:貴志祐介/黒い家
顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。それが悪夢の始まりだった。

 

長編賞:中井拓志/レフトハンド
製薬会社テルンジャパンの埼玉県研究所・三号棟で、ウィルス漏洩事件が発生した。漏れだしたのは通称レフトハンド・ウィルス、LHVと呼ばれる全く未知のウィルスで致死率は100%。しかし、なぜ三号棟がこのウィルスを扱っていたのかなど、確かなことはなにひとつわからない。漏洩事故の直後、主任を務めていた研究者・影山智博が三号棟を乗っ取った。彼は研究活動の続行を要請、受け入れられなければウィルスを外へ垂れ流すと脅かす…。

 

短編賞:沙藤一樹/Dーブリッジ・テープ
近未来、ゴミに溢れた横浜ベイブリッジで少年の死体と一本のカセットテープが発見された。いま、再開発計画に予算を落とそうと、会議室に集まる人々の前でそのテープが再生されようとしていた。耳障りな雑音に続いて、犬に似た息遣いと少年の声。会議室で大人たちの空虚な会話が続くなか、テープには彼の凄絶な告白が…。弱冠23歳の著者が巨大な嘘を告発する新黙示録。

 

第3回(1996年)
大賞:なし

 

佳作:貴志祐介/十三番目の人格(ペルソナ)ISOLA
賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格「ISOLA」の出現に、彼女は身も凍る思いがした。

 

短編賞・佳作:櫻沢順/ブルキナ・ファソの夜
旅行会社でツアーの企画を担当する「僕」は、ツアーのネタを探して世界中を飛び回っていた。ある日、航空機の給油のために西アフリカの小国、ブルキナ・ファソに立ち寄った僕が経験した不可思議な出来事とは――。

 

第2回(1995年)
大賞:瀬名秀明/パラサイト・イヴ
事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめる――。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。新装版刊行に際して、発表時に研究者でもあった著者から、科学者あるいは小説家を志す人達に贈る、熱いロングメッセージを収録。

 

短編賞:小林泰三/玩具修理者
その人は、何でも治してくれる。人形だってマシンガンだって、猫だって……だから私は過って死なせてしまった弟をその人の所へ持っていく。現実と妄想、生と死の境に疑問を投げつける衝撃のデビュー作。

 

第1回(1994年)
大賞:なし

 

佳作:坂東 眞砂子/蟲
めぐみは平凡な主婦として穏やかな日々を送っていた。ある夜、夫が古い石の器を持って帰宅。富士川のほとりで拾ったというその器には「常世蟲」と彫られていた。この時から彼女は奇怪な夢や超常現象に悩まされ始める。そしてある日、夫の体から巨大な緑色の虫が這い出るのを目撃してしまった! 深まる謎は、古代の俗信仰「常世神」へと遡ってゆく……。日本人の心の底に眠る恐怖を鮮烈なイメージで呼び起こす秀作。

 

佳作:カシュウ・タツミ/混成種―HYBRID―
学界から異端視されている黒田博士の発明「金属植物」は、学界やマスコミに全く相手にされなかった。黒田は金属植物「チップ」を代用神経として使う…。体内で成長する未知の存在を描く異色作。

 

佳作:芹澤準/郵便屋
結婚をひかえ、平凡な幸福を満喫していた萩尾和人の前に、ある日突然現れた不吉な影―今日もまたあの郵便屋が、忘れていた忌しい過去を配達にやってくる。住所も宛名もない不気味な封筒を、古ぼけた配達鞄にしのばせて…。日常を蝕む超自然的な恐怖を丹念に描き切った、正統派ホラーの力作。

 

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