開高健ノンフィクション賞・受賞作品のすべて

開高健ノンフィクション賞とは
公募 発表:7月
主 催:集英社
後 援:一ツ橋綜合財団
対 象:未発表もしくは未刊行の作品
プロ・アマ・年齢等 不問
作家の開高健を記念して創られた文学賞。
発表は月刊誌『小説すばる』、PR誌『青春と読書』、季刊誌『kotoba』誌上および集英社のホームページ上で行われる。小学館ノンフィクション大賞とともにノンフィクション作家の登竜門の位置づけにある。
小説すばる新人賞、柴田錬三郎賞、すばる文学賞、開高健ノンフィクション賞
以下、受賞時から改題した作品タイトルもありますが、すべて単行本発行時のタイトルになっています。
第19回(2021年)
平井 美帆(ひらいみほ)
1971年大阪府吹田市生まれ。1989年3月大阪府立千里高校を卒業すると同時に、正規留学のために渡米。5カ月ほどコロラド州立大学で英語を学んだあと、1989年9月南カリフォルニア大学に入学。舞台芸術、国際関係学を学び、1993年5月同大学シアターアーツ科を卒業。一時東京で演劇活動に携わるも、1997年に再びロサンゼルスへ渡る。このころから現地の日本語情報誌に記事を執筆するかたわら、日本の雑誌にも海外ルポを寄稿するようになる。2002年7月、東京に拠点を移す。日本大学大学院法務研究科在学中(2021年現在)。著書に『中国残留孤児 70年の孤独』(集英社インターナショナル、2015)、『獄に消えた狂気 滋賀・長浜「2園児」刺殺事件』(新潮社、2011)、『イレーナ・センドラー ホロコーストの子ども達の母』(汐文社、2008)、『あなたの子宮を貸してください』(講談社、2006)など。
第18回(2020年)
河野 啓
1963年愛媛県生まれ。北海道大学法学部卒業。1987年北海道放送入社。ディレクターとして、ドキュメンタリー、ドラマ、情報番組などを制作。高校中退者や不登校の生徒を受け入れる北星学園余市高校を取材したシリーズ番組(『学校とは何か?』(放送文化基金賞本賞)、『ツッパリ教師の卒業式』(日本民間放送連盟賞)など)を担当。著書に『北緯43度の雪 もうひとつの中国とオリンピック』(小学館。第18回小学館ノンフィクション大賞、第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞)
両手の指9本を失いながら〈七大陸最高峰単独無酸素〉登頂を目指した登山家・栗城史多(くりきのぶかず)氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか? 滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか。謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かす。 Amazonで探す 楽天で探す |
第17回(2019年)
濱野 ちひろ(はまの ちひろ)
1977年広島県出身。2000年、早稲田大学第一文学部卒業後、フリーライターとして活動開始。雑誌、ウェブサイトなどでインタビュー記事やエッセイ、映画評、旅行、アートなどに関する記事を執筆。2018年、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。現在はフリーライターとして活動するとともに、同大学大学院博士課程に在籍している。文化人類学におけるセクシュアリティ研究に取り組む。
犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。性暴力に苦しんだ経験を持つ著者は、彼らと寝食をともにしながら、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か、考察を重ねる。そして、戸惑いつつ、希望のかけらを見出していく―。 |
第16回(2018年)
川内有緒(かわうち ありお)
1972年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、米国ジョージタウン大学の中南米地域研究学で修士号を取得。
福島県いわき市に、ずっと完成しない美術館がある。それは、現代アートのスーパースター蔡國強と、“いわきのおっちゃん”が起こした奇跡。 |
第15回(2017年)
畠山 理仁(はたけやま みちよし)
1973年、愛知県生まれ。早稲田大学第一文学部在学中の1993年より雑誌を中心に取材・執筆活動を開始。関心テーマは政治家と選挙。
選挙の魔力に取り憑かれた泡沫候補(=無頼系独立候補)たちの「独自の戦い」を追い続けた20年間の記録。 |
第14回(2016年)
工藤律子(くどう りつこ)
1963年大阪生まれ。ジャーナリスト。東京外国語大学大学院地域研究研究科修士課程在籍中より、メキシコの貧困層の生活改善運動を研究し、フリーのジャーナリストとして取材活動を始める。
殺人事件発生率世界一の中米ホンジュラスには、凶悪な若者ギャング団「マラス」がはびこる。 マラスの一員になる条件は、誰か人を殺すこと。そして、組織から抜けるときは、死を覚悟しなければならない。 なぜ少年たちは、死と隣り合わせの「悪」の道に進むのか。 |
第13回(2015年)
三浦英之
1974年、神奈川県生まれ。京都大学大学院卒業後、朝日新聞社に入社。東京社会部、南三陸駐在、アフリカ特派員などを経て、現在は福島総局員。
日中戦争の最中、満州国に設置された最高学府・建国大学。「五族協和」を実践すべく、日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシアから集められた若者たちは6年間、寝食を共にしながら国家運営の基礎を学んだ。そして敗戦。祖国へと散った彼らは帝国主義の協力者として弾圧を受けながらも、国境を越えて友情を育み続けた。スーパーエリートたちの知られざる戦後。 |
第12回(2014年)
田原牧(たはら まき)
1962年生まれ。87年中日新聞社入社。名古屋社会部、カイロ支局勤務などを経て、東京本社(東京新聞)特別報道部デスク。
「革命」は徒労だったのか。 この出来事は日本人にとっても、決して対岸の火事ではない。 三十年にわたり、アラブ世界を見続けた気鋭のジャーナリストが、中東民衆革命の意味を問う! |
第11回(2013年)
黒川祥子
1959年生まれ。福島県出身。東京女子大学文理学部史学科卒業。弁護士秘書、ヤクルトレディ、デッサンモデル、業界紙記者などを経て、フリーライター。家族の問題を中心に執筆活動を行う。
第10回(2012年)
佐々涼子
1968年生まれ。神奈川県横浜市出身。早稲田大学法学部卒業。日本語教師を経てフリーライターに。
異境の地で亡くなった人は一体どうなるのか―。国境を越えて遺体を故国へ送り届ける仕事が存在する。どんな姿でもいいから一目だけでも最後に会いたいと願う遺族に寄り添い、一刻も早く綺麗な遺体を送り届けたいと奔走する“国際霊柩送還士”。彼らを追い、愛する人を亡くすことの悲しみや、死のあり方を真正面から見つめる異色の感動作。 |
第9回(2011年)
水谷竹秀
1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。ウエディング写真専門のカメラマンや新聞記者を経て、ノンフィクションライターとしてフィリピンを拠点に活動中。
常夏の国フィリピンで、困窮生活を送る何百人もの日本人男性がいる。フィリピンクラブで知り合った女性を追いかけてきた男、偽装結婚のカモにされた男……所持金ゼロ、住む家もない彼ら「困窮邦人」に手を差し伸べるのは、フィリピンの貧しい人々だった。男たちのすさまじい生き様を通して現代日本の問題点をあぶり出す、渾身のルポルタージュ。 |
第8回(2010年)
角幡唯介(かくはた ゆうすけ)
1976年北海道生まれ。早稲田大学探検部OB。
チベットの奥地、ツアンポー川流域に「空白の五マイル」と呼ばれる秘境があった。そこに眠るのは、これまで数々の冒険家たちのチャレンジを跳ね返し続けてきた伝説の谷、ツアンポー峡谷。人跡未踏といわれる峡谷の初踏査へと旅立った著者が、命の危険も顧みずに挑んだ単独行の果てに目にした光景とは─。開高健ノンフィクション賞をはじめ、多くの賞を受賞した、若き冒険作家の野心作。 |
第7回(2009年)
中村安希
ノンフィクション作家。1979年京都府生まれ、三重県育ち。2003年カリフォルニア大学アーバイン校、舞台芸術学部卒業。
世界各地の生活に根付く“小さな声”を求めて 貧困、紛争、汚染、疫病。まことしやかに語られる世界は、本当は一体どんな姿をしているのか。自らの目で確かめるべく26歳の著者は2年間、47カ国にわたる旅に出た。 |
第6回(2008年)
石川直樹(いしかわ なおき)
1977年東京都生まれ。高校時代にインド・ネパールを一人旅して以来、世界中を旅するようになる。2000年、地球縦断プロジェクト「Pole to Pole」に参加して北極点から南極点を人力踏破。2001年にはチョモランマに登頂し、当時の世界七大陸最高峰登頂の最年少記録を塗り替えた。
太平洋に消えた不屈の冒険家の、魂の記録 熱気球での冒険で数々の記録を樹立し、太平洋横断中に消息を絶った神田道夫。自らも副操縦士として同乗経験のある著者が、神田の軌跡を追う。 |
第5回(2007年)
志治美世子
1956年、東京生まれ。フリーライター、一女の母。歴史、女性、医療、社会など各方面で執筆活動中。1999年NHK大河ドラマ「元禄繚乱公式ホームページ」にて、歴史講座「元禄大学」の執筆を担当。がん患者サポート雑誌に、フリー編集者、ライターとして、取材、執筆に関わる。その他女性向けウェブマガジンなどにおいても、生活関連記事を担当。
隣の病院で始まった〈人間復興〉の闘い 今、医療の現場では何かが起きている。「そのとき」我々はどうすればよいのだろうか? 闘うことで事態を変えようとした人々を丹念に描く。 |
第4回(2006年)
伊東乾(いとう けん)
作曲家=指揮者。1965年1月27日東京生まれ。作曲を松村禎三、近藤譲、故松平頼則、高橋悠治、ピアノを石黒晶、チェロを故橘常定の各氏に師事。第一回パシフィック・ミュージック・フェスティバルで、故レナード・バーンスタイン、ルツェルン音楽祭アカデミーでピエール・ブーレーズに指導を受ける。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程中退、同総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。
衝撃のノンフィクション・ミステリーの登場! 選考会騒然、評価二分。刊行前から各メディア取材殺到。現役東大助教授・伊東乾が存在をかけて追いつめた「同級生の大罪」。裁かれるべきは、はたして誰なのか。 |
第3回(2005年)
藤原章生(ふじわら あきお)
1961年生まれ、ジャーナリスト。北海道大学工学部卒業。鉱山技師を経て89年に毎日新聞社入社。アフリカ、ラテンアメリカ特派員ののち2008年よりローマ特派員。
報道の現場から平易な言葉で深く問いかける 未だ貧困の意味すら知らず、無知のまま淡々と生きる市井の人々の生きざまを、新聞社のアフリカ特派員として5年半の取材に基づき、オムニバス形式で綴る。 |
第2回(2004年)
広川まさき
1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。会社員を経て、牧場の仕事に挑むことを決意。27歳の時、ワーキングホリデービザを取得し、カナダ・バンクーバーから450キロほど東にある町、カムループスにある牧場で学び始める。
伝説の日本人の足跡を訪ねるため、女一人、初めてのカヌーを繰ってアラスカ・ユーコン川下りに挑んだ著者。様々な表情を見せる自然、人々との交流。それは楽しい学びの時でもあった。 |
第1回(203年)
平岡泰博
1942年大阪府生まれ。大阪府立大学工業短期大学部卒業。67年関西テレビ放送入社。2002年退職し、フリー映像カメラマンに。「生と死の空白時間―脳死現場からの報告」(民放祭優秀賞受賞、日本テレビ技術賞受賞)、「さよならダックス先生」(文化庁芸術作品賞受賞、民放祭最優秀賞受賞、日本テレビ技術賞受賞)など多くのドキュメンタリー作品の撮影を担当。
零下30度にもなる激寒の季節、まだ誰も撮影したことのない絶滅寸前の幻のシベリアタイガーの映像を得る為に、TV局のカメラマンである著者は、ロシア沿海地方の、文字通り虎の棲む山に挑む。 |
姜誠
1957年生まれ。ルポライター。山口県生まれの在日コリアン三世。
日韓共催W杯で定住外国人草の根ボランティアを立ち上げた著者。その経過と自分史、在日コリアンやブラジル人の実情を語りつつ「多文化共生」実現を提案。国家をまたいで生きる越境人の姿がここに。 |
駒村吉重(こまむら きちえ)
1968年長野県生まれ。帝京大学経済学部卒。地方新聞記者、建設現場作業員など職を転々とする。夜間の現代写真研究所を中途退所し、97~98年、モンゴルのウランバートルに暮らす。帰国後、事件や埋もれた歴史、家族の肖像などを題材に取材・執筆活動を続ける
「カレーは好きですか」出会った外国人労働者は、そう聞いてきた。ベンガル人兄弟の部屋に立ち込める香辛料の香り、厳かなコーランの響き、額に汗する労働の匂い、東京暮らしの私の視界を、南アジアのなま温かい風がよぎった。 |
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