新井賞とは?受賞作品のすべてと同日発表の直木賞・芥川賞受賞作品

2019-07-20文学賞直木賞,芥川賞

新井賞とは?受賞作品のすべてと同日発表の直木賞・芥川賞受賞作品

新井賞とは

発表:1月/7月

主催:カリスマ書店員・新井見枝香

三省堂神保町本店(東京都千代田区)勤務の書店員・新井見枝香氏が店頭での販促を兼ねて、個人的に推したいと選定した本(主に小説など)を発表する為立ち上げ、2014年7月から始まった。直木賞・芥川賞の発表と同じ日の夜にTwitterで発表される。

新井見枝香氏が社内で企画し、一作品を選びTwitterで発表してきた。

「その半年で一番面白かった本を独断と偏見で選び、ひとりで勝手に表彰する」

#新井賞(Twitter)

ツイッターでの発表の他、三省堂書店神保町本店特設サイトで一記事として掲載されます。(例:第7回はこちら

2017年1月、2021年7月は発表なし。

 

新井見枝香氏の書籍

この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ
発売日:2019/2/9
某有名書店の"型破り"書店員によるエッセイ第2弾。前作の『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』から、さらにパワーアップ。30代後半独身女性の日常生活を、赤裸々に綴った「うまくいかない仕事」「うまくいかない美」「うまくいかない恋」「うまくいかない人生」は、新井ワールド全開、面白さ半端ない。

本屋の新井
発売日:2018/10/4
型破り書店員・新井見枝香による”本屋にまつわる”エッセイ集! 「新文化」連載エッセイ「こじらせ系独身女子の新井ですが」に加え、noteの人気記事、さらには書き下ろしも。装幀、カバーイラスト、挿絵は寄藤文平!

探してるものはそう遠くはないのかもしれない
発売日:2017/12/16
某有名書店の"型破り"書店員による初エッセイ。「書店員が書いた心温まる本屋の話」ではなく、37歳、独身、彼氏なし、そんな女のおかしくてちょっぴり痛いお話です。「会社員に向いてない」「結婚に向いてない」日常のエピソードが満載。コラムニストのジェーン・スーさんからは「同業者の端くれとして、背筋の凍る文章力。誰にでもあるどうってことない日常を、こんなにおもしろく仕上げるなんてズルい! 」と絶賛推薦コメントも。

 

発表なし:2021年度・下

新井賞:発表なし

発表なし。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:塞王の楯/今村翔吾
どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

 

直木賞:黒牢城/米澤穂信
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。

芥川賞:ブラックボックス/砂川文次
ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。

 

発表なし:2021年度・上

新井賞:発表なし

当日の発表なし。遅れているのか、今回はないのかは不明ですが、新しい仕事(踊り子)がお忙しいのかも。(参考:「新井賞」で知られる名物書店員が踊り子デビューした理由

 

直木賞・芥川賞

直木賞:テスカトリポカ

著者:佐藤究


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メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。
直木賞:星落ちて、なお

著者:澤田瞳子


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鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。
父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。
暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。
河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。

 

芥川賞:貝に続く場所にて

著者:石沢麻依

第64回群像新人文学賞発表
・当選作「貝に続く場所にて」 石沢麻依
・当選作「鳥がぼくらは祈り、」 島口大樹
・優秀作「カメオ」 松永K三蔵  他Amazonで探す
芥川賞:彼岸花(ひがんばな)が咲く島

著者:李琴峰

李琴峰「彼岸花が咲く島」(260枚)
流れ着いた島では、〈ニホン語〉と〈女語〉が話されていた――著者の新境地!

 

2021年度・上期の直木賞・芥川賞、受賞作品・候補作品

 

第13回 2020年度・下

発表:2021年1月20日

新井賞:俺と師匠とブルーボーイとストリッパー

著者:桜木紫乃
出版社:KADOKAWA刊

切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。

ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:心(うら)淋し川

著者:西條奈加
出版社:集英社

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。

 

芥川賞:推し、燃ゆ

著者:宇佐見りん

推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。

 

2020年度・下期の直木賞・芥川賞、受賞作品・候補作品

 

第12回 2020年度・上

発表:2020年7月15日

新井賞:彼女たちの部屋

著者:レティシア・コロンバニ
出版社:早川書房

現代、パリ。大きな挫折のあと、弁護士のソレーヌはある保護施設で代書人のボランティアをはじめた。女性会館というその施設には、暴力や貧困、差別のせいで住居を追われた人々が暮らしている。自分とはまるで異なる境遇にいる居住者たちの思いがけない依頼に、ソレーヌは戸惑った。それでも、一人ひとりと話して、手紙を綴るなかで、ソレーヌと居住者たちの人生は交わっていく。ここで自分の役割を見つけたと思った矢先、事件は起きた。約100年前、パリ。救世軍のブランシュは街中の貧困と闘っていた。路頭に迷うすべての女性と子供が身を寄せられる施設をつくる―彼女の計画は、ついに政治家・財界人も動かしつつあったが…。実在する保護施設と創設者を題材に、時代を超える女性たちの連帯を描く、『三つ編み』の著者による長篇小説。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:馳星周/少年と犬
2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。
ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。
その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。
そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。
だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……。

 

芥川賞:高山羽根子/首里の馬
この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。

芥川賞:遠野遥/破局
私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。

 

2020年度・上期の直木賞・芥川賞、受賞作品・候補作品

第11回 2019年度・下

発表:2020年1月15日(水)

新井賞:ライオンのおやつ

著者:小川糸

余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があった―。毎日をもっと大切にしたくなる物語。
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直木賞・芥川賞

直木賞:熱源

著者:川越宗一
候補になった回数:初
文藝春秋

故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。

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芥川賞:背高泡立草

著者:古川真人
候補になった回数:4回目


すばる10月号

大村奈美は、母の実家・吉川家の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに長崎の島に向かった。吉川家には今、<古か家>と<新しい方の家>がある。<古か家>は祖母が亡くなって以降、すでに空き家になっており、同じ集落に住む祖母の姉が引受人になっている。奈美は二つの家に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川家は<新しい方の家>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統制が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から家を買って移り住んだという。それが<古か家>だった。吉川家が<古か家>に住んでいた間、海の向こうに出ていく者、海の向こうからやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで、<古か家>の人々は蝦夷で漁をした者から北の果ての海と島の様子を聞いたこともあったし、戦後に故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々を家に招き入れたこともあった。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、祖父母やその祖父母たちが生きてきた時間を思うのだった。

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2019年度・下期の直木賞・芥川賞、受賞作品・候補作品

第10回 2019年度・上

発表:2019年7月17日

新井賞:三つ編み

著者:レティシア・コロンバニ
出版社:早川書房

三つ編み
3つの大陸、3人の女性、3通りの人生。唯一重なるのは、自分の意志を貫く勇気。インド。不可触民のスミタは、娘を学校に通わせ、悲惨な生活から抜け出せるよう力を尽くしたが、その願いは断ち切られる。イタリア。家族経営の毛髪加工会社で働くジュリアは父の事故を機に、倒産寸前の会社をまかされる。お金持ちとの望まぬ結婚が解決策だと母は言うが…。カナダ。シングルマザーの弁護士サラは女性初のトップの座を目前にして、癌の告知を受ける。それを知った同僚たちの態度は様変わりし…。3人が運命と闘うことを選んだとき、美しい髪をたどってつながるはずのない物語が交差する。文学賞8冠達成!全国図書館協会賞、グローブ・ドゥ・クリスタル賞(文学部門)、「ルレイ」旅する読者賞、女性経済人の文学賞、ユリシーズ賞(デビュー小説部門)、フランス・ゾンタクラブ賞、全国医療施設内図書館連盟賞、ドミティス文学賞。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

著者:大島真寿美
掲載誌:文芸春秋

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び
浄瑠璃作者・近松半二の生涯を描いた比類なき名作。虚実の渦を作り出したもう一人の近松がいた。

 

芥川賞:むらさきのスカートの女

著者:今村夏子
掲載誌:群像

むらさきのスカートの女
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために〈わたし〉の職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』、『星の子』が芥川賞候補となった話題の著者による待望の新作中篇。 (『小説トリッパー』平成31年/2019年春季号)

 

小説 TRIPPER (トリッパー) 2019年 春号

 

2019年度・上期の直木賞・芥川賞、受賞作品・候補作品

 

第9回 2018年度・下

発表:2019年1月16日

新井賞:ダルちゃん(1)(2)

著者:はるな檸檬
出版社:小学館刊

ダルちゃん
普通の人に「擬態」しても、生きづらい。ダルダル星人の姿を隠して、一生懸命に「働く24歳女性」に「擬態」するダルちゃん。
ダルちゃんは「普通」じゃない。そのままの姿だと気持ち悪がられます。
だから社会のルールを一生懸命覚えて、居場所を探します。
誰かに合わせて生きていると、自分が本当は何を考えているのかわからなくなるけれど、
それで相手が喜んでくれているのなら、人に合わせることの、何がいけないのだろう――。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:宝島

著者:真藤順丈
掲載誌:講談社

宝島
英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かった。超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!!

 

芥川賞:ニムロッド

著者:上田岳弘
掲載誌:群像

ニムロッド
それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。新時代の仮想通貨(ビットコイン)小説!第160回芥川賞受賞!
芥川賞:1R(いちらうんど)1分34秒

著者:町屋良平
掲載誌:新潮

1R1分34秒
デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。考えすぎてばかりいる、21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。長年のトレーナーにも見捨てられ、現役ボクサーで駆け出しトレーナーの変わり者、ウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく―。

 

第8回 2018年度・上

発表:2018年7月18日

新井賞:ののはな通信

著者:三浦しをん
出版社:KADOKAWA刊

ののはな通信
横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ…。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。女子校で出会い、運命の恋を得た少女たちの20年超を、全編書簡形式で紡いだ、女子大河小説の最高峰。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:ファーストラヴ

著者:島本理生
掲載誌:文藝春秋

ファーストラヴ
なぜ娘は父親を殺さなければならなかったのか?多摩川沿いで血まみれの女子大生が逮捕された。彼女を凶行に駆り立てたものは何か?裁判を通じて明らかにされる家族の秘密とは?

 

芥川賞:送り火

著者:高橋弘希
掲載誌:文學界

送り火
少年たちは暴力の果てに何を見たのか?東京から山間の町へ引っ越した中学三年生の歩。級友とも、うまくやってきたはずだった。あの夏、河へ火を流す日までは―。

 

第7回 2017年度・下

発表:2018年1月16日

新井賞:砂上

著者:桜木紫乃
出版社:KADOKAWA刊

砂上
空が色をなくした冬の北海道・江別。柊令央は、ビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から振り込まれる慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたい。そう思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま、気づけば四十代に突入していた。ある日、令央の前に一人の編集者が現れる。「あなた今後、なにがしたいんですか」。責めるように問う小川乙三との出会いを機に、令央は母が墓場へと持っていったある秘密を書く決心をする。だがそれは、母親との暮らしを、そして他人任せだった自分のこれまでを直視する日々の始まりだった。自分は母親の人生を肯定できるのか。そして小説を書き始めたことで変わっていく人間関係。書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:銀河鉄道の父

著者:門井慶喜
掲載誌:講談社

銀河鉄道の父
宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。家を継ぐべき長男だったが、賢治は学問の道を進み、理想を求め、創作に情熱を注いだ。勤勉、優秀な商人であり、地元の熱心な篤志家でもあった父・政次郎は、この息子にどう接するべきか、苦悩した―。生涯夢を追い続けた賢治と、父でありすぎた父政次郎との対立と慈愛の月日。

 

芥川賞:百年泥

著者:石井遊佳
掲載誌:新潮

百年泥
私はチェンナイ生活三か月半にして、百年に一度の洪水に遭遇した。橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る! かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風景、聴かれなかった歌。話されなかったことば、濡れなかった雨、ふれられなかった唇が、百年泥だ。流れゆくのは――あったかもしれない人生、群れみだれる人びと……
芥川賞:おらおらでひとりいぐも

著者:若竹千佐子
掲載誌:文藝

おらおらでひとりいぐも
74歳、ひとり暮らしの桃子さん。夫に死なれ、子どもとは疎遠。新たな「老いの境地」を描いた感動作!圧倒的自由!賑やかな孤独!63歳・史上最年長受賞、渾身のデビュー作!第54回文藝賞受賞作。

 

第6回 2017年度・上

発表:2017年7月19日

新井賞:貘の耳たぶ

著者:芦沢央
出版社:幻冬舎刊

貘の耳たぶ
自ら産んだ子を自らの手で「取り替え」た、繭子。常に発覚に怯え、うまくいかない育児に悩みながらも、息子・航太への愛情が深まる。一方、郁絵は「取り違えられた」子と知らず、保育士として働きながら、息子・璃空を愛情深く育ててきた。それぞれの子が4歳を過ぎたころ、「取り違え」が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子たちの行方は…。切なすぎる「事件」の慟哭の結末。渾身の書き下ろし!

 

直木賞・芥川賞

直木賞:月の満ち欠け

著者:佐藤正午
掲載誌:岩波書店

月の満ち欠け
新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

 

芥川賞:影裏(えいり)

著者:沼田真佑
掲載誌:文學界

影裏(えいり)
北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、「あの日」以後、触れることになるのだが……。
樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。

 

発表なし 2016年度・下

新井賞:なし

 

直木賞・芥川賞

直木賞:蜜蜂と遠雷

著者:恩田陸
掲載誌:幻冬舎

蜜蜂と遠雷
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。

 

芥川賞:しんせかい

著者:山下澄人
掲載誌:新潮

しんせかい
十代の終わり、遠く見知らぬ土地での、痛切でかけがえのない経験――。19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いたその先は【谷】と呼ばれ、俳優や脚本家を目指す若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、【先生】との軋轢、そして地元の女性と同期との間で揺れ動く思い。気鋭作家が自らの原点と初めて向き合い、記憶の痛みに貫かれながら綴った渾身作!

 

第5回 2016年度・上

発表:2016年7月19日

新井賞:やがて海へと届く

著者:彩瀬まる
出版社:講談社刊

やがて海へと届く
一人旅の途中ですみれが消息を絶ったあの震災から三年。今もなお親友の不在を受け入れられない真奈は、すみれのかつての恋人、遠野敦が切り出す「形見分けをしたい」という申し出に反感を覚える。親友を亡き人として扱う彼を許せず、どれだけ時が経っても自分だけは彼女と繋がっていたいと悼み続けるが―。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:海の見える理髪店

著者:荻原浩
掲載誌:集英社

海の見える理髪店
店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。

 

芥川賞:コンビニ人間

著者:村田沙耶香
掲載誌:文學界

コンビニ人間
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。

 

第4回 2015年度・下

発表:2016年1月19日

新井賞:坂の途中の家

著者:角田光代
出版社:朝日新聞出版刊

坂の途中の家
刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子供を殺した母親をめぐる証言にふれるうち、彼女の境遇に自らを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの光と闇に迫る、感情移入度100パーセントの心理サスペンス。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:つまをめとらば

著者:青山文平
掲載誌:文藝春秋

つまをめとらば
女が映し出す男の無様、そして、真価―。太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか―。時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。

 

芥川賞:異類婚姻譚(いるいこんいんたん)

著者:本谷有希子
掲載誌:群像

異類婚姻譚(いるいこんいんたん)
子供もなく定職にもつかず、ただ安楽な結婚生活を送る主婦の私はある日、いつの間にか互いの輪郭が混じりあって、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く…。夫婦という形式への強烈な違和を軽妙洒脱に描いた表題作で第154回芥川賞受賞!自由奔放な想像力で日常を異化する中短編4作を収録。
芥川賞:死んでいない者

著者:滝口悠生
掲載誌:文學界

死んでいない者
ある秋の日、大往生を遂げた男の通夜に親戚たちが集まった。子、孫、ひ孫三十人あまり。縁者同士の一夜の何気ないふるまいが、死と生をめぐる一人一人の思考と記憶を呼び起こし、重なり合う生の断片の中から、永遠の時間が現出する。「傑作」と評された第154回芥川賞受賞作に、単行本未収録作「夜曲」を加える。

 

第3回 2015年度・上

発表:2015年7月16日

新井賞:朝が来る

著者:辻村深月
出版社:文藝春秋刊

朝が来る
長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平仮な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった―。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:流

著者:東山彰良
掲載誌:講談社


一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾 に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。選考委員満場一致、「二十年に一度の傑作」(選考委員の北方謙三氏)に言わしめた直木賞受賞作。

 

芥川賞:火花

著者:又吉直樹
掲載誌:文學界

火花
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞作。芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。
芥川賞:スクラップ・アンド・ビルド

著者:羽田圭介
掲載誌:文學界

スクラップ・アンド・ビルド
「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。

 

 

第2回 2014年度・下

発表:2015年1月15日

新井賞:イノセント・デイズ

著者:早見和真
出版社:新潮社刊

イノセント・デイズ
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:サラバ!

著者:西加奈子
掲載誌:小学館

サラバ!
僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。

 

芥川賞:九年前の祈り

著者:小野正嗣
掲載誌:群像

九年前の祈り
35歳になるさなえは、故郷の海辺の町へと戻った。幼い息子、希敏とともに。希敏の父、フレデリックは、美しい顔立ちだけを残し、母子の前から姿を消してしまった。“引きちぎられたミミズ”のように大騒ぎする子を持て余しながら、さなえの胸には、九年前のあの言葉がよみがえる。芥川賞受賞作を含む四篇を収録。

 

第1回 2014年度・上

発表:2014年7月17日

新井賞:男ともだち

著者:千早茜
出版社:文藝春秋刊

男ともだち
29歳のイラストレーター神名葵は関係の冷めた恋人・彰人と同棲をしながらも、身勝手な愛人・真司との逢瀬を重ねていた。仕事は順調だが、ほんとうに描きたかったことを見失っているところに、大学の先輩だったハセオから電話がかかる。七年ぶりの彼との再会で、停滞していた神名の生活に変化が訪れる―。直木賞候補作。

 

直木賞・芥川賞

直木賞:破門

著者:黒川博行
掲載誌:KADOKAWA

破門
「わしのケジメは金や。あの爺には金で始末をつけさせる」映画製作への出資金を持ち逃げされた、ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮。失踪したプロデューサーを追い、桑原は邪魔なゴロツキを病院送りにするが、なんと相手は本家筋の構成員だった。禁忌を犯した桑原は、組同士の込みあいとなった修羅場で、生き残りを賭けた大勝負に出るが―。直木賞受賞作にして、エンターテインメント小説の最高峰「疫病神」シリーズ!

 

芥川賞:春の庭

著者:柴崎友香
掲載誌:文學界

春の庭
東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の三篇を加え、作家の揺るぎない才能を示した小説集。

 

過去の受賞作

過去の直木賞

過去の芥川賞

 

過去の新井賞



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直木賞受賞作家
芥川賞受賞作家

 

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Posted by 綾糸