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著者/受賞作 |
第52回
2024年 |
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原田マハ/板上に咲く
「ワぁ、ゴッホになるッ!」
1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。
しかし、絵を教えてくれる師もおらず、画材を買うお金もなく、弱視のせいでモデルの身体の線を捉えられない棟方は、展覧会に出品するも落選し続ける日々。
そんな彼が辿り着いたのが木版画だった。彼の「板画」は革命の引き金となり、世界を変えていくーー。
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第51回
2023年 |
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北村薫/水 本の小説
本を愛する作家が、言葉と物語の発する光を掬(すく)い取り、その輝きを伝える7篇。
懐かしくて新しい物語の言葉が、映像や詩や短歌、歌のことばに結び合わされて光を放ち、豊かに輝き出す。
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〃 |
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朝比奈秋/あなたの燃える左手で
麻酔から覚めると、見知らぬ他人の手になっていた。
ハンガリーの病院で、手の移植手術を受けたアサト。しかし、麻酔から覚めると、繋がっていたのは見知らぬ白人の手で――。
自らの身体を、そして国を奪われることの意味を問う、傑作中篇!
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第50回
2022年 |
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大濱普美子/陽だまりの果て
〈ないことないこと〉が書き連ねられた物語、この世の裏側に窪んだどこにもない場所。魅惑に溢れた異世界へ――
時空や他己の隔たりを超えて紡がれる、懐古と眩惑に彩られた幻想譚6篇を収録。
〈傾聴ボランティア〉の派遣先で出会った老婦人の作り話とも真実ともつかない昔語りと、主人公の過去現在が絡み合う交感の物語。(「ツメタガイの記憶」)
行きつ戻りつ繰り返される、老人の記憶の窓に映る追想。(「陽だまりの果て」)
老いを意識し始めた主人公が姉御肌の老女と出会い、かけがえのないものを託される。(「骨の行方」)
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第49回
2021年 |
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村田喜代子/姉の島
85歳超えの退役海女たちは、後進の若者のために潜った海の海図作成に余念がない。カジメやアワビ、海底に突き刺ささる戦時の沈没船、水産大学校出の孫や嫁からきく天皇海山列と春の七草海山……円熟した作家による老女と潜水艦の異色冒険小説。
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第48回
2020年 |
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髙樹のぶ子/小説伊勢物語 業平
美麗な容貌と色好みで知られる在原業平の一代記。千年前から読み継がれる歌物語の沃野に分け入り、小説に紡ぐことで、日本の美の源流が立ち現れた。これは文学史上の事件である!
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第47回
2019年 |
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田中慎弥/ひよこ太陽
今日も死ななかった。あの帽子を見たために、今日も死なずにすんだ――。一緒に住んでいた女に出ていかれ、切り詰めた生活でひたすら小説を書く40代の男。書けない日々が続き、いつしか死への誘惑に取り憑かれた男に、ある日人探しの依頼が届くが……。虚実のあわいで佇む作家の日常を描く連作小説集。芥川賞作家の新境地作。
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第46回
2018年 |
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山尾悠子/飛ぶ孔雀
庭園で火を運ぶ娘たちに孔雀は襲いかかり、大蛇うごめく地下世界を男は遍歴する。伝説の幻想作家、待望の連作長編小説。
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第45回
2017年 |
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松浦理英子/最愛の子ども
日夏(ひなつ)と真汐(ましお)と空穂(うつほ)。夫婦同然の仲のふたりに、こどものような空穂が加わった。私立玉藻(たまも)学園高等部2年4組の中で、仲睦まじい3人は〈わたしたちのファミリー〉だ。
甘い雰囲気で人を受け入れる日夏。
意固地でプライドの高い真汐。
内気で人見知りな空穂。
3人の輪の中で繰り広げられるドラマを、同級生たちがそっと見守る。
ロマンスと、その均衡が崩れるとき。巧みな語りで女子高生3人の姿を描き出した傑作長編。
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第44回
2016年 |
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川上弘美/大きな鳥にさらわれないよう
何人もの子供を育てる女たち。回転木馬のそばでは係員が静かに佇む。少女たちは日が暮れるまで緑の庭で戯れ、数字を名にもつ者たちがみずうみのほとりで暮らす。遙か遠い未来、人々は小さな集団に分かれ、密やかに暮らしていた。生きながらえるために、ある祈りを胸に秘め―。滅びゆく世界の、かすかな光を求めて―傑作長篇小説!
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第43回
2015年 |
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長野まゆみ/冥途あり
川の流れる東京の下町で生まれた父は実直な文字職人として穏やかな生涯を送った―はずだった。死後、折々に亡き父の来し方を思う娘は、親族との会話を通して、父の意外な横顔に触れる。遠ざかる昭和の原風景の中に浮かび上がる敗戦の記憶。著者の実体験をもとにした家族の物語。第68回野間文芸賞受賞作。
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篠原勝之/骨風
十七歳、家出少年の人生は、挫折、家族解散、借金返済の自転車操業。
愛猫、ビンボー暮らし、ゲージツ、室蘭、深沢七郎、モンゴル草原、青函連絡船、
編み物、ベネチア、父親、どぶろく、スキンヘッド、弟、甲斐駒ケ岳……
老いてなお逃げ続ける脚力で描き切った、崖っぷちの連作集!
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第42回
2014年 |
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中島京子/妻が椎茸だったころ
亡き妻のレシピ帖に「私は椎茸だった」という謎のメモを見つけた泰平は、料理教室へ。不在という存在をユーモラスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて愛おしい」五つの「偏愛」短編集。
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小池昌代/たまもの
40歳になって、別れた恋人から山尾という名の赤ん坊を預かった「わたし」。以来10年余、せんべい工場の契約社員をしながら山尾を育ててきた。知人男性との逢瀬を重ねながらも、山尾に実の息子同然の愛情を注ぐ「わたし」。初老にさしかかり、母と女の狭間を生きる、シングルマザーの日常。
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第41回
2013年 |
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磯崎憲一郎/往古来今
語り手の「私」が、自分の子供のころの母親の思い出を語りだす。と思いきや、突然思い出を断ち切るように、二十歳ごろのうらぶれた京都旅行の話が始まる。線路で泣いている仔犬を救おうとした話、田舎の郵便局で働く巨漢の元力士、千年前の源平時代の領主の話、裸の大将・山下清の話、そして行き着くのは百年前にハワイに移民した日本人の話――自在に空間と時間を往来する、「私」を巡る五つの物語。
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第40回
2012年 |
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角田光代/かなたの子
生まれなかった子が、新たな命を身ごもった母に語りかける。あたしは、海のそばの「くけど」にいるよ―。日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる傑作短編集。
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第39回
2011年 |
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瀬戸内寂聴/風景
思いがけぬ安吾賞受賞を契機に、かつての破滅的な恋が胸によみがえる「デスマスク」。戦時下の北京で運命的に出会った恩人との思い出、その邂逅と別れとを描く「絆」。およそ四十年前、心密かに準備してきた得度を目前にして揺れた女心と、師僧の言葉を初めて明かす「そういう一日」―。激動の半生をもとに、胸に深く刻まれた体験と道ならぬ情愛の記憶を渾身の筆でつづる、珠玉の自伝的短編小説集。
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夢枕獏/大江戸釣客伝
綱吉治世の元禄時代、釣りに出た絵師・朝湖と俳人・其角は江戸湾で屍体を釣り上げる。竿を持ち、笑みを浮かべながら流れ死んだ男の正体は?一方、旗本・采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。義父・吉良上野介の計らいで、「生類憐みの令」を発布した将軍・綱吉の側小姓となるが…。第46回吉川英治文学賞、第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、3冠達成の時代小説。
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第38回
2010年 |
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篠田正浩/河原者ノススメ――死穢と修羅の記憶
芸能がつくりあげた荒唐無稽こそ、宇宙の片隅で漂う人間の叡智の産物かもしれない。構想50年―日本映画界の旗手が、芸能者たちの“運命”を追跡し、この国の“歴史”が時系列で記される単純化に抗する、渾身の書き下ろし作品。
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第37回
2009年 |
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千早茜/魚神
かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。第21回小説すばる新人賞、第37回泉鏡花文学賞受賞作。
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第36回
2008年 |
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南木佳士/草すべり、その他の短篇
40年ぶりの再会。眩しかった彼女と浅間山へ――清冽にしてせつない珠玉の4篇。泉鏡花賞・芸術選奨文科大臣賞をW受賞した話題作
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横尾忠則/ぶるうらんど
生と死のあいだ、此岸と彼岸をただよう永遠の愛の物語(短編連作『ぶるうらんど』第36回泉鏡花文学賞受賞作)に、異国(スペイン、アマゾン、カシミール)を旅する極彩色の幻想奇譚集『ポルト・リガトの館』をあわせて傑作幻想小説集。
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第35回
2007年 |
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立松和平/道元禅師
源平戦乱の余燼さめやらぬ鎌倉初期、京都の摂関家・藤原基房の娘伊子を母に、村上源氏の流れを汲む名門家の歌人・久我通具を父に生まれた道元は、瞳が二重の「重瞳の子」のため天下人か大聖人になるとの予言を受ける。幼少のうちに母を失い世の無常を身に染みて感じた道元は、真実の道を求めて出家。建仁寺で栄西の弟子・明全に師事したが、正法を求める思い止み難く宋へと向かった。
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大鷹不二雄/鏡花恋唄(特別賞)
切子ガラスのランプ。四天王寺さまの夕陽。万灯会…。無数の火のつぶが、遊廓の少女の身体を包む。鏡花文学に漂う気品を受けついだ、せつなく、うつくしく、いたいけな物語。
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第34回
2006年 |
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嵐山光三郎/悪党芭蕉
ならず者と遊び人が集った蕉門、美男弟子との衆道関係、あの句にこめられた危険な秘密……いつしか神格化され「求道の人」のアイドルとなった松尾芭蕉。しかしその素顔は、芥川龍之介に「日本の生んだ三百年前の大山師」と言わしめるほど、凄腕の不良(ワル)だった! 「俳聖」を敢えて俗人と同じレベルで再考し、犯罪すれすれのところに成立した俳諧の真の凄味に迫る、画期的芭蕉論!
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第33回
2005年 |
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寮美千子/楽園の鳥――カルカッタ幻想曲
仕事が成功しても、孤独な心は癒せない。消えた恋人を追い「世界の果て」へとさまよいでたミチカは、三十代の童話作家。バンコク・カルカッタ・カトゥマンドゥ・ヒマラヤ山中、そしてベンガル湾。混沌の都市と美しい自然を舞台に傷ついた心が交錯する。ガンジスの源流から河口までを巡る旅に救いはあるのか?死ぬほど美し大地を見下ろしながら、脚のない「楽園の鳥」は飛びつづける。ディープ・アジアを旅する恋愛冒険紀行小説。
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第32回
2004年 |
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小川洋子/ブラフマンの埋葬
ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している〈創作者の家〉。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた――。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。
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第31回
2003年 |
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丸谷才一/輝く日の宮
女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。
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桐野夏生/グロテスク
名門女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。
「わたし」とユリコは日本人の母とスイス人の父の間に生まれた。母に似た凡庸な容姿の「わたし」に比べ、完璧な美少女の妹のユリコ。家族を嫌う「わたし」は受験しQ女子高に入り、そこで佐藤和恵たち級友と、一見平穏な日々を送っていた。ところが両親と共にスイスに行ったユリコが、母の自殺により「帰国子女」として学園に転校してくる。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。「わたし」は二人を激しく憎み、陥れようとする。
圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。
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