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著者/受賞作 |
第48回
2024年 |
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樋口六華/泡の子
2025年2月頃 刊行予定
新宿「TOHOシネマズ横」、いわゆるトー横の早朝にはカラスの一群の漁るゴミが散らばり、春をひさぐ女たちとそれを目当てに集まる輩、集団でOD(オーバードーズ)に明け暮れる人間の酸っぱい狂騒の余韻に満ちていた。
ヒヒルは、トー横近くのボロアパートに棲息する芸大万年浪人生で友人・トシの家の冷たいシャワーを浴びながら、強烈だった前夜のODに思いを馳せていた。
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佳作 |
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新崎瞳/ダンスはへんなほうがいい
2025年2月頃 刊行予定
大手広告代理店に入社したCMプランナーの大山渾は、思うようにいかない仕事に疲弊して自責の念に苛まれるようになり、やがて休職を願い出る。
気鬱を抱えながらも、久方ぶりの穏やかな生活を送る渾。ある晩、たまたま注文したフードデリバリーの配達員から唐突に声をかけられる。アオと名乗るその男の話によれば、ふたりは保育園の同級生で大の仲良しだったのだという。全く記憶と結びつかず混乱する渾をよそに、アオは颯爽と去っていく。
そんなある日、渾は同期の女性プランナー・池田から食事の誘いを受ける。先輩の男性社員との関係に悩みながらも、着々と成果を挙げていく池田の姿に、渾は引け目を感じる。ほどなくして、アオと名乗る配達員が再び渾の家にやってくる。戸惑いながらも、自棄になっていた渾はアオを迎え入れる。思いのほか会話は弾み、優しく、あらゆる社会的属性やステレオタイプから自由なアオの振る舞いに、渾の心はだんだんとほぐされていくが――。
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第47回
2023年 |
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大田ステファニー歓人/みどりいせき
このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。
そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。
でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた──。
圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作!
ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く。
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第46回
2022年 |
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大谷朝子/がらんどう(※「空洞を抱く」を改題)
「ルームシェアっていうの、やらない? もっと広い部屋に住めるし、生活費も節約できるし、家事も分担できるよ」
「若い人たち同士ならわかるけど……本気なの?」
「四十過ぎた女二人が同居しちゃいけないって法律はないよ」
「でも、普通はしないよ。あと、わたしまだ三十八だよ」
人生で一度も恋愛感情を抱いたことがない平井と、副業として3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作り続ける菅沼。
2人組「KI Dash」の推し活で繋がったふたりのコロナ禍での共同生活は、心地よく淡々と過ぎていくが――
恋愛、結婚、出産、家族……どんな型にもうまくはまれない、でも、特別じゃない。
《今》を生きるすべての人へ、あらゆる属性を越えて響く“わたしたち”の物語。
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第45回
2021年 |
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永井みみ/ミシンと金魚
一人暮らしの安田カケイは、訪問介護やデイ・サービスのケアを受けて暮らしている。認知症の症状があり、近年の記憶が曖昧なカケイ。ある日、一人の介護スタッフが「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と彼女に尋ねる。
かつてカケイは洋裁を生業にしていた。出奔した夫の連れ子とのあいだに、道子という女の子が生まれる。しかしカケイが夢中になってミシンを踏んでいるうちに、道子は金魚鉢から掬った水を飲み、その日のうちに疫痢で死んでしまった。
辛いことも多かったが、カケイは道子に会えた自分の人生は幸せだったと感じる。玄関で倒れたカケイは上がり框の裏に小さな手あとを見つけ、自分の手をそっと重ねる。そして今日が自分の死ぬ日だと思う。
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佳作 |
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石田夏穂/我が友、スミス
U野は、筋トレに励む会社員である。
Gジムに通うU野は、Nジムを新しく始めるO島から、ボディ・ビル大会への出場を勧められる。U野は迷うが、Nジムへの入会と、大会出場を決意する。
大会で好成績を残すため、U野は本格的に身体を鍛え始める。身体づくりの他にも、様々な準備に奔走する。ボディ・ビルの大会と言えど、舞台では女性らしい所作が求められることに、U野は徐々に葛藤を覚える。
大会当日、一位選手のドーピング違反により、U野は繰り上げで予選突破を果たす。しかし、移り気な審査基準に翻弄されたU野は、決勝の舞台で、女性らしさを無視した演技をする。
大会後、U野はGジムに戻るが、世間の価値観に囚われない態度を身につけている。
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第44回
2020年 |
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木崎みつ子/コンジュジ
二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。
小学生のせれなは、独り、あまりに過酷な現実を生きている。
寄る辺ない絶望のなか、忘れもしない1993年9月2日未明、彼女の人生に舞い降りたのは、伝説のロックスター・リアン。
その美しい人は、せれなの生きる理由のすべてとなって……
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第43回
2019年 |
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高瀬隼子/犬のかたちをしているもの
付き合い始めの郁也に、そのうちセックスしなくなると宣言した薫。もともと好きではなかったその行為は、卵巣の病気を患ってからますます嫌になっている。そんな薫に郁也は「好きだから大丈夫」といい、セックスをしない関係でいる。ある日、郁也に呼び出されてコーヒーショップに赴くと、彼の隣にはミナシロと名乗る見知らぬ女性が座っていた。郁也の大学の同級生で、彼がお金を払ってセックスした相手だという。ミナシロは妊娠していて、子どもをもらってくれないかと彼女から提案されるのだが…。
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第42回
2018年 |
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須賀ケイ/わるもん
硝子職人の父はいつの間にか「箕島家」からとり除かれてしまった。笑顔が増えた母、家には寄り付かない姉の鏡子と祐子、ときどき現れる「ミシマ」さんという男性。純子だけが母の視線を受けながらずっと家にいる。あるときから純子は父の「コンセキ」を辿り始め…。
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第41回
2017年 |
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山岡ミヤ/光点
工場しかない閉じられた町で出会った実以子とカムト。職場と自宅を往復する日々、家では母親が実以子の存在を追いつめる。不穏な日常をふりきり、実以子とカムトが求めた光点とは。行き場のない若者たち、抑圧の先に生まれた奇妙な自足、そして焦りを描く物語。
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佳作 |
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兎束まいこ/遊ぶ幽霊
すばる2017年11月号 |
第40回
2016年 |
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春見朔子/そういう生き物
千景とまゆ子。高校の同級生である二人は十年ぶりに再会し、思いがけず一緒に暮らすことになる。薬剤師の千景は、定年退職した大学の「先生」の元を訪れては、ともに線虫の観察をする日々。スナック勤めのまゆ子は、突然訪ねてきた「先生」の孫と、カタツムリの飼育を巡り、交流を深めてゆく。そんな中、高校時代の友人の結婚式が近づき、二人はかつての自分たちの「深い関係」と「秘密」とに改めて向き合うことになる。そして…?「生」と「性」のままならなさを印象的にすくい上げるデビュー作。
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佳作 |
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ふくだももこ/えん
すばる2016年11月号 |
第39回
2015年 |
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黒名ひろみ/温泉妖精
美しい母親と姉のもとで育ち、容姿コンプレックスを抱えて美容整形を繰り返す27歳の絵里。大きな二重の目、高い鼻、脱色した髪と青いカラーコンタクトで、外国人のふりをして田舎の温泉宿に泊まるのが趣味の彼女は、ある日、向かった旅館で、「影」と呼ばれる嫌味ったらしい中年男性客と出会い―。
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佳作 |
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竹林美佳/地に満ちる
すばる2015年11月号 |
第38回
2014年 |
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足立陽/島と人類
行こう!行こうよ島へ!人類学者の河鍋未來夫らヌーディスト一行は、「あの島」を目指し、大海原へ挑む。そこでは人類史に新たなる一ページを刻むべく、禁断の計画が行われていた。ヒトとボノボ、属を超えた愛の先にあるものは…。
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上村亮平/みずうみのほうへ
七歳の誕生日、二人で出かけた船旅の途中で忽然と姿を消した父。その直前に甲板で父と遊んだゲームに登場する男「サイモン」。湖のある小さな町で暮らす伯父に引き取られたぼくは、二十代最後の年、サイモンにそっくりの人物と遭遇する。彼は、ぼくと父しか知らないはずの言葉を口にして―。時間と空間を自在に交差させながら、喪失の果ての光を繊細に描き出す新しい才能の誕生。
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第37回
2013年 |
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奥田亜希子/左目に映る星
唯一の理解者だった小学校の同級生・吉住君を想いながら、孤独を抱えて生きる26歳の早季子。他人に恋愛感情が持てず、刹那的な関係を繰り返していたある日、吉住君と自分と同じ癖を持つ宮内の存在を知り、会いたいと思うが、彼はアイドルのファン活動で忙しいという。彼と話すため、地方ライブに同行することにした早季子だったが…。奇妙で愛しい出会いの物語。
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金城孝祐/教授と少女と錬金術師
薬学部の学生・久野は、育毛と油脂の関連を研究する江藤教授に助手を任命され、かつての教え子である永田を紹介される。頭髪の薄い永田は乾性油によって人を魅了する光り輝く艶を頭部に作り出すことができた。久野は、永田の勤め先の塾で不思議な力を持つ女子中学生の荻と出会う…。
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第36回
2012年 |
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新庄耕/狭小邸宅
学歴も経験も関係ない。すべての評価はどれだけ家を売ったかだけ。大学を卒業して松尾が入社したのは不動産会社。そこは、きついノルマとプレッシャー、過酷な歩合給、挨拶がわりの暴力が日常の世界だった…。物件案内のアポも取れず、当然家なんかちっとも売れない。ついに上司に「辞めてしまえ」と通告される。松尾の葛藤する姿が共感を呼んだ話題の青春小説。
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高橋陽子/黄金の庭
お寺の閻魔様が動き回り、池の蓮の花からお釈迦様が現れる。不思議なことがおこる町に引っ越してきた青奈夫婦。ある日、質屋で手に入れたオパールの指輪がしゃべり出し…。不思議な町の平凡な日常を描く、新しい大人のファンタジー。
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第35回
2011年 |
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澤西祐典/フラミンゴの村
19世紀末のベルギー。農夫のアダン氏は、ある日突然「妻がフラミンゴになる」という不条理に陥る。忌み物扱いされるのを避けるため村人の目に触れぬようひた隠しにするが、幼い息子の発言で村中に知れわたってしまう。しかし、司祭の口から驚きの事実が告げられ…。極限状況での人間心理を暴く。
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第34回
2010年 |
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米田夕歌里/トロンプルイユの星
イベント事務所で働くサトミのまわりで、異変が起きはじめていた。次々とひとやものが消えていき、最初から「なかった」ことになっていく。机のなかのハッカ飴、採用されたアルバイト、進めていたプロジェクト…。そんな時、同僚の久坂さんが、原因は自分にあると語りだす。彼もまた、失われ続ける世界のなかで、傷つきながら生きていた。
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第33回
2009年 |
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木村友祐/海猫ツリーハウス
25歳の亮介は、ファッション・デザイナーを目指しながらも、実家の農業を手伝うかたわら、「親方」の元でツリーハウス作りに精を出す毎日。地元コミュニティで人気者の兄・慎平の帰郷がきっかけとなり、つかの間の均衡が崩れはじめる…。
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〃
佳作 |
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温又柔/好去好来歌 |
第32回
2008年 |
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天埜裕文/灰色猫のフィルム
僕ね、母親を殺したんですよ、包丁で、すごい先の尖ったやつでもしもし?聞こえますか?三円でそのパンを分けてもらえませんか?死んでるの?どこですか、そのテント小屋ってありがとうございますねぇ?殺してみてどう?ねぇ、どうなの?違う、誤解してる、違うんだあの、アクロス・ザ・ユニバースできますか?もしもし?聞こえますか?ねぇ、君は生まれてきたいのかな?生きていたいんでしょ?僕を殺そうとするのは僕だけだ。22歳、驚くべき才能の出現。
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〃
佳作 |
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花巻かおり/赤い傘 |
第31回
2007年 |
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墨谷渉/パワー系181
パワー系個人クラブ・リカの世界へようこそ
180cmを超える大柄で筋トレで鍛えあげた肉体を持つリカは、風俗ではなくSMでもない個人サロンを開設する。そこには様々な形で快楽を求める男達が訪れる。性を媒介しない風俗を描く秀作。
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原田ひ香/はじまらないティータイム
4人の過剰な女たち。あなたは誰に共感? 努力で「できちゃった略奪婚」した里美。その結果、離婚の憂き目にあった佐智子。そんな彼女を心配し、探偵活動を始める伯母ミツエ。その娘で不妊に悩む奈都子。女たちは対立しながら奇妙な友情を育む。
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第30回
2006年 |
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瀬戸良枝/幻をなぐる
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佳作 |
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吉原清隆/テーパー・シャンク |
第29回
2005年 |
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高瀬ちひろ/踊るナマズ
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第28回
2004年 |
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朝倉祐弥/白の咆哮
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中島たい子/漢方小説
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第27回
2003年 |
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金原ひとみ/蛇にピアス
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〃 |
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千頭ひなた/ダンボールボートで海岸
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第26回
2002年 |
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栗田有起/ハミザベス
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〃 |
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織田みずほ/スチール
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〃
佳作 |
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竹邑祥太/プラスティック・サマー |
第25回
2001年 |
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大泉芽衣子/夜明けの音が聞こえる
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第24回
2000年 |
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末弘喜久/塔
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大久秀憲/ロマンティック
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第23回
1999年 |
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中上紀/彼女のプレンカ
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楠見朋彦/零歳の詩人
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第22回
1998年 |
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安達千夏/あなたがほしい je te veux
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第21回
1997年 |
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岩崎保子/世間知らず
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清水博子/街の座標
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第20回
1996年 |
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デビット・ゾペティ/いちげんさん
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第19回
1995年 |
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茅野裕城子/韓素音の月
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〃 |
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広谷鏡子/不随の家
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第18回
1994年 |
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受賞作なし |
第17回
1993年 |
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引間徹/19分25秒
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第16回
1992年 |
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楡井亜木子/チューリップの誕生日
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〃
佳作 |
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白石一文/惑う朝 |
第15回
1991年 |
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釉木淑乃/予感
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〃
佳作 |
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仁川高丸/微熱狼少女
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第14回
1990年 |
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大鶴義丹/スプラッシュ
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清水アリカ/革命のためのサウンドトラック
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山室一広/キャプテンの星座
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第13回
1989年 |
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奈良裕明/チン・ドン・ジャン
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辻仁成/ピアニシモ
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〃
佳作 |
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浅賀美奈子/夢よりもっと現実的なお伽噺 |
第12回
1988年 |
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受賞作なし |
第11回
1987年 |
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桑原一世/クロス・ロード
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〃 |
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松本侑子/巨食症の明けない夜明け
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第10回
1986年 |
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本城美智子/十六歳のマリンブルー
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第9回
1985年 |
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藤原伊織/ダックスフントのワープ
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江場秀志/午後の祠り
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第8回
1984年 |
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受賞作なし |
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佳作 |
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冬木薫/天北の詩人たち
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〃
佳作 |
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原田宗典/おまえと暮らせない |
第7回
1983年 |
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平石貴樹/虹のカマクーラ
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〃 |
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佐藤正午/永遠の1/2
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第6回
1982年 |
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三神弘/三日芝居
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伊達一行/沙耶のいる透視図
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第5回
1981年 |
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本間洋平/家族ゲーム
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第4回
1980年 |
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又吉栄喜/ギンネム屋敷
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佳作 |
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笹倉明/海を越えた者たち
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第3回
1979年 |
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松原好之/京都よ、わが情念のはるかな飛翔を支えよ
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第2回
1978年 |
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森瑤子/情事
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吉川良/自分の戦場
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〃
佳作 |
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飯尾憲士/海の向うの血 |
第1回
1977年 |
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受賞作なし |
第回
年 |
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原トミ子/一人 |
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