野間文芸新人賞・第1回(1979年)~現在までの受賞作品のすべて

2019-06-06文学賞

野間文芸新人賞・第1回(1979年)~現在までの受賞作品のすべて
目次

野間文芸新人賞とは

発表:11月

主催:財団法人野間文化財団・講談社

講談社初代社長、野間清治の遺志により設立された財団法人野間文化財団が主催する純文学の新人に与えられる文学賞である。野間三賞のうちの一つ。

新人作家による小説を対象とする。芥川龍之介賞と違い、文芸誌掲載作だけではなく単行本も対象となる。受賞作は選考委員の合議によって決定される。受賞作発表および選評は『群像』1月号に掲載される。

初期は村上龍、尾辻克彦など芥川賞受賞経験者に授賞することがあったが、しだいに芥川賞未受賞者のみを候補とする暗黙のルールが成立していった。特に90年代以降は受賞者の約4割が後に芥川賞も受賞するようになっている。

出典:ウィキペディア講談社

野間清治(講談社設立)
生年月日:1878年12月17日
1938年10月16日(59歳没)

 

野間文芸賞は以下をご覧ください。

 

第41回:2019年

古谷田奈月/神前酔狂宴

出版社:河出書房新社

神社の結婚披露宴会場で働く浜野、梶、倉地―配膳スタッフとして日々披露宴の「茶番」を演じるうちに、神社の祀る神が明治日本の軍神であることを知り…。結婚、家族、日本という壮大な茶番を切り裂く圧巻の衝撃作!

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第40回:2018年

金子薫/双子は驢馬に跨がって

出版社:河出書房新社

いつ何処ともしれぬ森の中のペンション―。オーナーなる人物に監禁された父と子は、双子が驢馬に乗って助けにくるのを信じて待ち続けていた。双子が辿るであろう道のりを地図に描き物語を紡ぎあげ、時に囲碁を打ちながら、父子はこの不条理の中、辛うじて精神の均衡を保っていた。いっぽう生まれつき旅と救済を宿命づけられた双子の少年少女は、驢馬ナカタニを得て旅立つが、行く先々で寄り道ばかり。畜獣の如く蹂躙されている人々がいるという噂を聞きつけ、二人は意気揚々と救出に向かうが―一通の手紙が二つの世界を繋ぐ時、眩い真実が顕れる。

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乗代雄介/本物の読書家

出版社:講談社

老人ホームに向かう独り身の大叔父に同行しての数時間の旅。大叔父には川端康成からの手紙を持っているという噂があった。同じ車両に乗り合わせた謎の男に、私の心は掻き乱されていく。大変な読書家らしい男にのせられ、大叔父が明かした驚くべき秘密とは。―「本物の読書家」。なりゆきで入った「先生」のゼミで、私は美少女・間村季那と知り合う。サリンジャー、フローベール、宮沢賢治らを巡る先生の文学講義、季那との関係、そして先生には奇妙な噂が…。たくらみに満ちた引用のコラージュとストーリーが交錯する傑作。―「未熟な同感者」。

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第39回:2017年

今村夏子/星の子

出版社:朝日新聞出版

主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。

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高橋弘希/日曜日の人々(サンデー・ピープル)

出版社:講談社

他者に何かを伝えることが救いになるんじゃないかな。亡くなった従姉から届いた日記。それをきっかけに、僕はある自助グループに関わるようになった…。死に惹かれる心に静かに寄り添う、傑作青春小説!

 

第38回:2016年

戌井昭人/のろい男 俳優・亀岡拓次

出版社:文藝春秋

亀岡拓次、40歳。下着泥棒から火宅の作家まで、哀愁漂う男を演れば天下一。傑作シリーズ第二弾の本書では、大女優・松村夏子さんの胸を揉んだり、さっぽろテレビ塔で狙撃されたり、伊東で地元のおっちゃんたちと踊ったり、イカれたTVプロデューサーと保育園のニワトリを追いかけたり。ついに、ポルトガルの海辺の町で、郷愁の酔っぱらいになって……。

 

第37回:2015年

滝口悠生/愛と人生

出版社:講談社

「男はつらいよ」シリーズの子役、秀吉だった「私」は、寅次郎と一緒に行方不明になった母を探す旅に出る。映画の登場人物と、それを演じる俳優の人生が渾然一体となって語られ、斬新で独創的と絶賛された“寅さん小説”の表題作ほか、短編「かまち」とその続編「泥棒」の三作を収録。

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古川日出男/女たち三百人の裏切りの書

出版社:新潮社

あなたたち後世の人々よ。改竄された物語に、私が耐えられると思うか? 野間文芸新人賞・読売文学賞ダブル受賞作。 死して百有余年、怨霊として甦り「本もの」の宇治十帖を語り始めた紫式部。一方、海賊たちは瀬戸内に跋扈し、蝦夷の末裔は孤島で殺人術を研き、奥州の武士たちは太刀と黄金を全国に運んでいた。いくつもの物語は次第に交錯し、やがてひとつの像を結ぶ。圧倒的なスケールと幻視力で紡がれる《古川日出男版》源氏物語。

 

第36回:2014年

松波太郎/LIFE

出版社:講談社

猫木豊、31歳。脳内で「365日毎日“だらだら且ぶらぶら”できる国の王」として暮らす、ダメ男。ある日、パートナーの宝田から妊娠を告げられ、“だらだら且ぶらぶら”に未練を残しつつ、現実の生活と向き合い始める。しかし出産後、こどもの先天的障害が判明し、宝田は動揺を隠せない。いっぽう猫木は、ダメ男のくせにそんな宝田への不満を隠せない。二人は互いに見当違いの三くだり半をつきつけ合うのだった―。第150回芥川賞候補作。

 

第35回:2013年

いとうせいこう/想像ラジオ

出版社:河出書房新社

深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。

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第34回:2012年

日和聡子/螺法四千年記

出版社:幻戯書房

現在という地平線に交錯する、神、人、小さな生き物たちの時空。“此岸と彼岸”、“私と彼方”の“景色”を打ち立てた、新しい文学。

 

山下澄人/緑のさる

出版社:平凡社

『群像』『文學界』で鮮烈なデビューを果たした著者による初の単行本。彼女と友達に裏切られたフリーターの「わたし」は、海に行き不思議な出来事に遭遇する。小説の可能性を追求した意欲作。平成24年度・第34回野間文芸新人賞受賞作。

 

第33回:2011年

本谷有希子/ぬるい毒

出版社:新潮社

あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで―。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。

 

第32回:2010年

円城 塔/烏有此譚(うゆうしたん)

出版社:講談社

灰に埋め尽くされ、僕は穴になってしまった文学界新人賞作家の最新作。
目眩がするような観念戯れ、そして世界観――。
不条理文学のさらに先を行く、新鋭の、やりすぎなまでに先端な、純文学。

 

柴崎友香/寝ても覚めても

出版社:河出書房新社

謎の男・麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。だが彼はほどなく姿を消す。三年後、東京に引っ越した朝子は、麦に生き写しの男と出会う…そっくりだから好きになったのか?好きになったから、そっくりに見えるのか?野間文芸新人賞受賞作。森泉岳土のマンガとコラボした魅惑の書き下ろし小説を増補。

 

第31回:2009年

村田沙耶香/ギンイロノウタ

出版社:新潮社

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは…。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。

 

第30回:2008年

津村記久子/ミュージック・ブレス・ユー!!

出版社:角川書店

オケタニアザミは「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生。髪は赤く染め、目にはメガネ、歯にはカラフルな矯正器。数学が苦手で追試や補講の連続、進路は何一つ決まらないぐだぐだの日常を支えるのは、パンクロックだった!超低空飛行でとにかくイケてない、でも振り返ってみればいとおしい日々。野間文芸新人賞受賞、青春小説の新たな金字塔として絶賛された名作。

 

第29回:2007年

鹿島田真希/ピカルディーの三度

出版社:講談社

三島賞作家が描く〈恋愛の究極〉! 「おれは、おれの知らなかった恋愛を先生がくれると思った」――論議を呼んだ表題作「ピカルディーの三度」を含む5篇を収録した〈愛と禁忌〉の最新小説集。

 

西村賢太/暗渠の宿

出版社:新潮社

貧困に喘ぎ、暴言をまき散らし、女性のぬくもりを求め街を彷徨えば手酷く裏切られる。屈辱にまみれた小心を、酒の力で奮い立たせても、またやり場ない怒りに身を焼かれるばかり。路上に果てた大正期の小説家・藤澤清造に熱烈に傾倒し、破滅のふちで喘ぐ男の内面を、異様な迫力で描く劇薬のような私小説二篇。デビュー作「けがれなき酒のへど」を併録した野間文芸新人賞受賞作。

暗渠の宿 (新潮文庫)[本/雑誌] (文庫) / 西村賢太/著

 

第28回:2006年

中原昌也/名もなき孤児たちの墓

出版社:新潮社

誰にも必要とされず、何のメッセージも伝えない、美しい光の点滅のような作品集。現在断筆中の奇才の代表作。

 

第27回:2005年

木淳悟/四十日と四十夜のメルヘン

出版社:新潮社

配りきれないチラシが層をなす部屋で、自分だけのメルヘンを完成させようとする「わたし」。つけ始めた日記にわずか四日間の現実さえ充分に再現できていないと気付いたので……。新潮新人賞選考委員に「ピンチョンが現れた! 」と言わしめた若き異才による、読むほどに豊穣な意味を産みだす驚きの物語。綿密な考証と上質なユーモアで描く人類創世譚「クレーターのほとりで」併録。

 

平田俊子/二人乗り

出版社:講談社

嵐子、不治子、そして道彦。
絡み合い、絶妙に輪舞するそれぞれの想いと因果。

 

第26回:2004年

中村航/ぐるぐるまわるすべり台

出版社:文藝春秋

塾講師の傍ら、僕は教え子の名を騙りバンドメンバーを募集した。ボーカルの中浜に自らの分身をみた瞬間、僕の中で、物語が始まった

 

中村文則/遮光

出版社:新潮社

恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった―。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。

 

第25回:2003年

島本理生/リトル・バイ・リトル

出版社:講談社

ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、ふみ、母、小学校2年生の異父妹の女3人。静かで平穏で、一見何の変哲もない生活だが、そこに時折暗い影を落とすのは、家族の複雑な過去だった。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父―。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、ふみは少しずつ、光の射す外の世界へと踏み出してゆく。

 

星野智幸/ファンタジスタ

出版社:集英社

フットサルとリフティング占いに依存している、わたし。ダキマクラに夢中のリョウジとの同居。そんななかで行われる首相選挙。性・家族・職業・国家の“らしさ"に違和感を抱える人間を描く作品集。第25回野間文芸新人賞受賞作。

 

第24回:2002年

佐川光晴/縮んだ愛

出版社:講談社

障害児学級教員の岡田は、働いていた小学校の卒業生・牧野に出会う。自分が受け持っていた自閉症児サトシを殴った過去を持つ牧野だが、彼につきまとわれて、岡田は毎週彼と酒を飲むことになる。が、ある日牧野は突然暴漢に襲われる。物語にひそむミステリー性も話題になった、第24回野間文芸新人賞受賞作。

 

若合春侑/海馬の助走

出版社:中央公論新社

父親は、あの台風の三日後、家から消えた。「畜生、俺は負げねぇ」 綜一は光を求め駆け出した-。著者の父の自叙伝をベースにした表題作、同じく父をモデルにした「掌の小石」の2編を収録。

 

第23回:2001年

清水博子/処方箋

出版社:集英社

困難な愛の物語。
海外赴任する友人の代わりに、その心を病んだ姉を病院へ送迎する附添いを引き受けた沖村。彼女を伴い通院するうちに、平穏な日々が歪み始める。第23回野間文芸新人賞受賞の会心作。

 

堂垣園江/ベラクルス

出版社:講談社

生と死、そして愛。未来を獲得する男と女!メキシコオリンピックの栄華の蔭に封印された虐殺の記憶。30年後一人の女子学生と記憶を封印された男がトロカデロ広場で出会う。メキシコが舞台の壮大なロマン

 

第22回:2000年

赤坂真理/ミューズ

出版社:文藝春秋

中1でスカウトされモデルの仕事を続けながら女優を目指す女子高生美緒。歯列矯正に通う彼女は、34歳の歯科医の手の“匂い”に魅かれ、恋に落ちる。粘膜的快楽に細胞までざわめく、野間文芸新人賞受賞の初期最高作「ミューズ」と、自傷を通して自分を確かめる彩乃と介護士の交流を描いた「コーリング」。代表作のベスト・カップリング。

 

岡崎祥久/楽天屋

出版社:講談社

漂泊の魂が声を放つのだ―ここではないどこかへ!と。30過ぎ、臍の緒つき。無為徒食のクズ男といかれた女たちのさすらい。独自のユーモアと繊細なセンスで時代の空気を映すあたらしい文学。

 

第21回:1999年

阿部和重/無情の世界

出版社:講談社

現実と妄想の区別を失った男子高校生が、夜の公園で不気味な光景に遭遇した―― これは現実なのか? それとも悪夢なのか? 不穏な空気で満ちた、少年の手記。『ABC 阿部和重初期作品集』に収録。

 

伊藤比呂美/ラニーニャ

出版社:新潮社

離婚した「あたし」が、子連れで家を出て、日本も出て、向かった先は南カリフォルニア。荒涼とした不毛の地で繁殖するユーカリの木を目にした「あたし」は…。詩人として旺盛に活躍し続ける著者による傑作小説集。芥川賞候補作二作に加えて、単行本未収録の幻の中編『スリー・りろ・ジャパニーズ』も初収録。

 

第20回:1998年

藤野千夜/おしゃべり怪談

出版社:講談社

納会帰りに雀荘へ寄った4人のOLが、おしゃべりな男に包丁を突きつけられながら、延々と麻雀をする羽目に陥る表題作ほか、コミカルで、繊細で、温かく、ちょっぴり怖い4篇を収録した作品集。若者の日常に潜むいつもは見えない不安や心のほころび、性の揺れを優しくリリカルに描いた野間文芸新人賞受賞作。

 

第19回:1997年

町田康/くっすん大黒

出版社:文藝春秋

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作

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第18回:1996年

角田光代/まどろむ夜のUFO

出版社:ベネッセコーポレーション

私のほんとうの居場所はどこにあるのだろう

私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。5日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。3人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏――。心の底のリアルな感覚を描き共感を呼ぶ、角田光代の作品集。

 

柳美里/フルハウス

出版社:文藝春秋

本物になりたいけどなれないニセモノ家族の奮闘を描く表題作と、不倫の顛末をコミカルに描く、「もやし」。芥川賞作家の力作二篇

 

第17回:1995年

佐藤洋二郎/夏至祭

出版社:講談社

廃坑の町を棄て、1人の少女を不幸にした負い目を残して都会へ出た靖雄は、過去の傷を抱え、孤独をなめるような生活を続ける。土の匂い、山の息吹に引かれるように戻った故郷は、ベッドタウンとして新たな活力と創造に満ちていた。彼もまた、再生できるのか? 人間の生命力を讃える表題作他2編を収録。

 

水村美苗/私小説

出版社:新潮社

「美苗」は12歳で渡米し滞在20年目を迎えた大学院生。アメリカに溶け込めず、漱石や一葉など日本近代文学を読み耽りつつ育ったが、現代の日本にも違和感を覚え帰国をためらい続けてきた。雪のある日、ニューヨークの片隅で生きる彫刻家の姉と、英語・日本語まじりの長電話が始まる。異国に生きる姉妹の孤独を通じて浮き彫りになるものとは…。本邦初、横書きbilingual小説の試み。

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第16回:1994年

竹野雅人/私の自叙伝前篇

出版社:講談社

本人や身内の話ばかりでチンプンカンプン、赤の他人が読んでも果てしなくつまらない話に終始している、見も知らない人の自叙伝というものは何て面白いんだろう。本邦初の自叙伝パロディ文学。

私の自叙伝前篇

 

第15回:1993年

奥泉 光/ノヴァーリスの引用

出版社:新潮社

恩師の葬儀からの帰り道、男たちは酒を酌み交わしながら、かつて図書館の屋上から墜落した友人の死の真相を推理する―幾重もの推理が読者を彼岸へと誘うアンチ・ミステリ「ノヴァーリスの引用」。罠と悪意にからめとられ、極限状態に追い詰められていく少年たちの心理を緻密に描きだした傑作と名高い「滝」。著者のミステリ世界が凝縮された初期の代表作を一冊にまとめて贈る。

 

保坂和志/草の上の朝食

出版社:講談社

ぼくはさっき感じたズルズルと愛のようなものに自分が浸っていく気持ちを大事なもののように感じていたのだが、ズルズルがズルズルと一人で勝手に土俵を割っていったような気持ちになった…。前作『ブレーンソング』の四人は、いつものように毎日おしゃべりし、そして恋をする。夏の終わりから晩秋までの至福に満ちた日々。

 

第14回:1992年

リービ英雄/星条旗の聞こえない部屋

出版社:講談社

横浜の領事館で暮らす17歳のベン・アイザック。父を捨て、アメリカを捨て、新宿に向かう。1960年代末の街の喧騒を背景に、言葉、文化、制度の差を超え、人間が直接に向き合える場所を求めてさすらう柔らかな精神を描く野間文芸新人賞受賞の連作3篇。「日本人の血を一滴も持たない」アメリカ生まれの著者が、母語を離れ、日本語で書いた鮮烈なデビュー作。

 

第13回:1991年

笙野頼子/なにもしてない

出版社:講談社

“ナニモシテナイ”幸福な私を脅かすのは?生きていることのリアリティを希求して、現実と幻想の世界を往還するモノロ-グの世界を描いた野間文芸新人賞受賞の表題作を含む2編を収録する第一小説集。

 

第12回:1990年

佐伯一麦/ショート・サーキット

出版社:福武書店

若くして父となったかれは生活のため配電工となった。都市生活者の現実に直面するうち3人の子供の父となり、妻はすでに子供たちのものになってしまった。今日も短絡事故(ショート・サーキット)が起こり、現場にかけつける――。野間文芸新人賞受賞の表題作に、海燕新人文学賞受賞のデビュー作「木を接ぐ」をはじめ、働くということ、生きるということをつきつめた瑞々しい初期作品5篇を収録。

 

第11回:1989年

伊井直行/さして重要でない一日

出版社:講談社

未知の空間、会社という迷路を彷徨う主人公。トラブル、時間、おしゃべり、女の子、コピー機。著者独特の上品なユーモアの漂う、なにか、もの哀しくも爽やかな空気の残像。会社員の日常を鮮やかに切り取った、野間文芸新人賞受賞作。サラリーマンの恋と噂と人間関係、奇妙で虚しくて、それでも魅力的な「星の見えない夜」も所収。

 

第10回:1988年

吉目木晴彦/ルイジアナ杭打ち

出版社:講談社

父親の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュで暮らす日々を、両親や周囲の人々、風物を少年の目を通して書きとめた新しい形式の短編集。深南部に住む異邦人としての非適応感覚をクールに、しかしユーモアも交えて捉えた意欲作。野間文芸新人賞受賞の表題作に、群像新人賞受賞の『ジパング』を併録。

 

第9回:1987年

新井 満/ヴェクサシオン

出版社:文藝春秋

生きるとは、自分なりの零を描くこと。どうせ同じ零なら、がむしゃらに加算させるより、静かに零を富ませ、いとおしみたい。エリック・サティのように―。徹底して醒めながら、醒めることでより深く結びつく、新しい恋愛の形を提出した、野間文芸新人賞受賞作。表題作と対の関係にある姉妹編『苺』を併録。

 

第8回:1986年

岩阪恵子/ミモザの林を

出版社:講談社

日常の猥雑を越えて求め続ける女の生命の力。女感覚を生きる!

 

干刈あがた/しずかにわたすこがねのゆびわ

出版社:福武書店

「サラバータ/サラバータ/しずかにわたすこがねのゆびわ/鬼のしらぬうちに/ちょっとかくせ/いいわよ」芹子、百合子、梅子、葵…。健康薬品会社で働く20代の女性たちが、時を経て愛に傷つきながらもそれぞれの人生を生き抜く姿を、童唄の哀しい調べに篭めて描いた力作長篇。

 

第7回:1985年

中沢けい/水平線上にて

出版社:講談社

年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて、身体の芯が震える程の鮮烈な感銘を与えた秀作。作家の出発を告げた群像新人賞受賞「海を感じる時」と、大学生となった、その後の性意識と体験を描き深めた野間文芸新人賞「水平線上にて」。力作二篇収録。

 

増田みず子/自由時間

出版社:新潮社

 

 

第6回:1984年

青野 聰/女からの声

出版社:講談社

壊れかけている自分への痛切な思いを抱えて生きる〈ぼく〉。真実の絆を追って遍歴する妻の〈ナホミ〉。それぞれに性愛の相手を求め、さまよいつづける。ニューヨーク、小笠原、東京、ネパール、アフガニスタン…。芥川賞作家青野聡が、根元的な生の実現を求める人間たちの魂を、濃密な文体で綴った長編小説。

 

島田雅彦/夢遊王国のための音楽

出版社:福武書店

捉えどころのない管理と支配の触手にみちた「現在」を生きる若者の矛盾と混乱を、クラシック音楽形式の実験的手法で描いた野間文芸新人賞受賞作ほか「スピカ、千の仮面」を収録。

 

第5回:1983年

尾辻克彦/雪野

出版社:文藝春秋

 

 

第4回:1982年

村上春樹/羊をめぐる冒険

出版社:講談社

1通の手紙から羊をめぐる冒険が始まった 消印は1978年5月――北海道発

あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている21歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい<鼠>の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

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第3回:1981年

村上龍/コインロッカー・ベイビーズ

出版社:講談社

1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清々(すがすが)しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に!

 

宮内勝典/金色の象

出版社:河出書房新社

放浪の果てに帰港した青年と青春を持てあました家出娘。都会の雑踏での一瞬の出会い、同棲、出産。小さい生命がもたらした天と地の輝きのなかで、若い二人が抱きとめたおおらかな愛と性の讃歌。

 

第2回:1980年

立松和平/遠雷

出版社:河出書房新社

 

第1回:1979年

津島佑子/光の領分

出版社:講談社

夫との別居に始まり、離婚に至る若い女と稚い娘の1年間。寄りつかない夫、男との性の夢、娘の不調、出会い頭の情事。夫のいない若い女親のゆれ動き、融け出すような不安を、“短篇連作”という新しい創作上の方法を精妙に駆使し、第1回野間文芸新人賞を受賞した津島佑子の初期代表作。

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文学賞

Posted by 綾糸