第162回-直木賞・芥川賞・新井賞の受賞作品と候補作品(令和元年2019年下半期)

2019-12-13文学賞

概要

対象期間:平成31年・令和1年/2019年下半期
発表:2020年1月15日
直木三十五賞・芥川龍之介賞
授与者:公益財団法人日本文学振興会

 

第161回(2019年上半期)は以下をご覧ください。

 

第163回(令和2年上半期)芥川賞・直木賞の選考会 次回は 令和2年(2020年)7月15日(水)

 

直木賞

選考会:2020年1月15日(水)発表

受賞:川越宗一/熱源

初めての候補で受賞。

文藝春秋

故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。

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川越宗一(かわごえそういち)
1978年生まれ。2018年「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。

  • 天地に燦たり』2018年文藝春秋刊。
  • 熱源』19年文藝春秋刊=第10回山田風太郎賞候補、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞。

 

 

候補作品

候補作:2019年12月16日(月)発表

小川哲(初)/嘘と正典

早川書房

零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。

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小川哲(おがわ さとし)
1986年生まれ。東京大学教養学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。2015年『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。

 

呉勝浩(初)/スワン

KADOKAWA

巨大ショッピングモール「スワン」で起きた無差別銃撃事件。死者21名を出した悲劇の渦中で、高校生のいずみは犯人と接しながら生き延びた。しかし、同じく事件に遭遇した同級生・小梢により、次に誰を殺すか、いずみの指名によって犯行が行われたという事実が週刊誌で暴露される。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに招待状が届く。集められたのは事件に巻き込まれ、生き残った5人の関係者。目的は事件の中のひとつの「死」の真相をあきらかにすること。その日、本当に起こったこととはなんだったのか?

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呉勝浩(ご かつひろ)
1981年生まれ。大阪芸術大学卒。2015年『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞。

 

誉田哲也(初)/背中の蜘蛛

双葉社

東京・池袋で男の刺殺体が発見された。捜査にあたる警視庁池袋署刑事課長の本宮はある日、捜査一課長から「あること」に端を発した捜査を頼まれる。それから約半年後―。東京・新木場で爆殺傷事件が発生。再び「あること」により容疑者が浮かぶが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その唐突な容疑者の浮上に違和感を抱く。そしてもう一人、植木と同じように腑に落ちない思いを抱える警察官がいた。捜査一課の管理官になった本宮だった…。「あること」とは何なのか?池袋と新木場。二つの事件の真相を解き明かすとともに、今、この時代の警察捜査を濃密に描いた驚愕の警察小説。

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誉田哲也(ほんだ てつや)
1969年生まれ。学習院大学卒。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。翌年同作でデビュー。03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。

 

湊かなえ(4回目)/落日

角川春樹事務所

新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた。15年前に起きた、判決も確定しているこの事件を手がけたいという。笹塚町は千尋の生まれ故郷だった。この事件を、香は何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。“真実”とは、“救い”とは、そして、“表現する”ということは。絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語。

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湊かなえ(みなと かなえ)
1973年生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。アパレルメーカー勤務、青年海外協力隊隊員、高校講師などを経て、2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。翌年同作を収録した『告白』でデビュー。

 

 

芥川賞

選考会:2020年1月15日(水)発表

受賞:古川真人/背高泡立草

4回目の候補で受賞。


すばる10月号

大村奈美は、母の実家・吉川家の納屋の草刈りをするために、母、伯母、従姉妹とともに長崎の島に向かった。吉川家には今、<古か家>と<新しい方の家>がある。<古か家>は祖母が亡くなって以降、すでに空き家になっており、同じ集落に住む祖母の姉が引受人になっている。奈美は二つの家に関して、伯父や祖母の姉に話を聞く。吉川家は<新しい方の家>が建っている場所で戦前は酒屋をしていたが、戦中に統制が厳しくなって廃業し、満州に行く同じ集落の者から家を買って移り住んだという。それが<古か家>だった。吉川家が<古か家>に住んでいた間、海の向こうに出ていく者、海の向こうからやってくる者があった。江戸時代には捕鯨が盛んで、<古か家>の人々は蝦夷で漁をした者から北の果ての海と島の様子を聞いたこともあったし、戦後に故郷の朝鮮に帰ろうとして船が難破し島の漁師に救助された人々を家に招き入れたこともあった。時代が下って、カヌーに乗って鹿児島からやってきたという少年が現れたこともあった。草に埋もれた納屋を見ながら奈美は、祖父母やその祖父母たちが生きてきた時間を思うのだった。

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古川真人(ふるかわ まこと)
1988年生まれ。第一薬科大学付属高等学校卒。2016年「縫わんばならん」で第48回新潮新人賞を受賞しデビュー。

  • 縫わんばならん」2016年新潮11月号=第156回芥川賞候補、単行本は17年新潮社刊。
  • 四時過ぎの船」17年新潮6月号=第157回芥川賞候補、単行本は17年新潮社刊=第31回三島由紀夫賞候補。
  • 「窓」18年新潮7月号。
  • ラッコの家」19年文學界1月号=第161回芥川賞候補、単行本は19年文藝春秋刊。

 

候補作品

候補作:2019年12月16日(月)発表

木村友祐(初)/幼な子の聖戦


すばる11月号

「幼な子の聖戦」–人妻との逢瀬を楽しみながら、親元で暮している「おれ」は青森県の小さな村で村議をしている。「おれ」は県議に人妻の件で決定的な弱みを握られ、立候補した同級生への選挙妨害を強いられる。疲弊した村の現実と、地元を愛する同級生の熱い演説。小さな村の選挙戦は、思いもかけぬ方向へと–。
「天空の絵描きたち」–安里小春(あさと・こはる)は、ビルの窓拭きを専門にする会社に転職したばかりだった。仕事を理由に彼氏と微妙な関係にあるが、小春は仲間同士で文字通り命を預けて仕事をする緊張感にのめり込んでいる。ある日、ビル内の盗難事件が原因でリーダーのクマさんこと権田が責任者を下ろされてしまう。クマさんにひそかに憧れていた小春は、思い切ってクマさんを焼き鳥に誘うが……。Amazonで探す

木村友祐(きむら ゆうすけ)
1970年生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒。2009年、「海猫ツリーハウス」で第33回すばる文学賞を受賞しデビュー。

 

髙尾長良(3回目)/音に聞く


文學界9月号

言葉か、音か―。作曲に天賦の才をみせる15歳の妹。母語から離れ、自らの言語表現を模索する姉。『肉骨茶』『影媛』で注目を集める若き才媛が音楽の都ウィーンを舞台に繰り広げる待望の本格芸術小説。

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髙尾長良(たかお ながら)
1992年生まれ。医師・小説家。2012年、「肉骨茶」で第44回新潮新人賞受賞。17年京都大学医学部卒。17年度京都市芸術文化特別奨励者。

  • 肉骨茶」2012年新潮11月号=第148回芥川賞候補、単行本は13年新潮社刊。
  • 影媛」14年新潮12月号=第152回芥川賞候補、単行本は15年新潮社刊。

 

千葉雅也(初)/デッドライン


新潮9月号

修士論文のデッドラインが迫るなか、「動物になること」と「女性になること」の線上で煩悶する大学院生の「僕」。高校以来の親友との夜のドライブ、家族への愛情とわだかまり、東西思想の淵を渡る恩師と若き学徒たる友人たち、そして、闇の中を回遊する魚のような男たちとの行きずりの出会い―。21世紀初めの東京を舞台にかけがえのない日々を描く話題沸騰のデビュー作。第41回野間文芸新人賞受賞、気鋭の哲学者の初小説。

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千葉雅也(ちば まさや)
1978年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。2013年刊の『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』で紀伊國屋じんぶん大賞および表象文化論学会賞を受賞。『勉強の哲学――来たるべきバカのために』、『意味がない無意味』などを刊行。19年、初の小説作品「デッドライン」で第41回野間文芸新人賞を受賞。

 

乗代雄介(初)/最高の任務


群像12月号

「手紙」と「日記」を通して、書くという営為の意味を問う――。
野間文芸新人賞受賞の気鋭による青春小説集!「最高の任務」
大学の卒業式を前にした私は、あるきっかけで、亡き叔母にもらって書き始めた、小学生の頃の日記帳をひもとく。日記を通して語られていく、叔母との記憶……。Amazonで探す

乗代雄介(のりしろ ゆうすけ)
1986年生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒。2015年、「十七八より」で第58回群像新人文学賞を受賞しデビュー。18年、『本物の読書家』で第40回野間文芸新人賞を受賞。

 

新井賞:第11回(2019年度・下)

2020年1月15日(水)発表

小川糸/ライオンのおやつ

余命を告げられた雫は、残りの日々を瀬戸内の島のホスピスで過ごすことに決めた。そこでは毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があった―。毎日をもっと大切にしたくなる物語。
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Posted by 綾糸